渡辺洋平

思想史・芸術史


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1985年宮城県生まれ。2009年京都大学総合人間学部卒業。2016年京都大学大学院人間・環境学研究科修了。博士(人間・環境学)。

卒業論文のテーマはマルセル・デュシャン。大学院での研究テーマはドゥルーズを中心とする西洋の思想と芸術。狭義の哲学史だけでなく、文学や芸術、映画、人類学、精神分析など広汎な領域を横断しながら展開されるドゥルーズの思想に影響を受ける。博士論文は著書『ドゥルーズと多様体の哲学』として人文書院より出版(2017年)。

博士論文出版後はリチャード・ローティを中心とするアメリカのプラグマティズム、西洋の伝統を基盤とするハンナ・アーレントの政治思想、1960年代フランスの芸術運動ヌーヴォー・レアリスムなどの研究をしつつ、早稲田大学、関西大学、立命館大学などで美学、哲学、美術史、思想史、現代アートなどの講義を行う。近年の個人的研究テーマは、ジャック・デリダによる批判以後哲学がいかにありうるのか、日本における芸術の形成史と今後の表現のありようについて、それらを組み合わせた現代日本における哲学および芸術の可能性について。

2014年末から6年半ほど京都北白川の山の学校にて、広川直幸先生の下で古典ギリシャ語を学ぶ。プラトン、ホメロス、エウリピデス、クセノポンなどを原文で読めるくらいには習得。自身も2014年から2022年まで断続的にフランス語の講師を担当。

学生時代から原書講読系の授業を多数受講。ロック、バークリー、カント、ニーチェ、フッサール、ハイデガー、ベルクソン、ドゥルーズ、レヴィナスなどを原書で読む。特に1回の講義で数行しか進まないハイデガー『存在と時間』の演習に哲学書を読むとはどういうことなのかを教わる。ドイツ語の翻訳としては岸本督司、古川真宏との共訳によるゲオルク・ジンメル「モードの哲学」(『vanitas』No.003、アダチプレス、2014年)。フランス語の翻訳に、ウジェーヌ・ドラクロワ「美についての問い」(1854)

その他ラテン語、イタリア語を独学。

2023年既成の体制や学科にしばられない学びの場としてディセミネ設立。

メッセージ

そもそも哲学とは何なのでしょうか。いわゆる哲学者と呼ばれる人たちの本を読んで研究することだけが哲学なのでしょうか。そもそもそういった区分そのものを思考の対象とし、必要であればそれを解体・再構築していく営みこそが哲学ではないでしょうか。私が興味をひかれ、研究の対象としてきたのは、まさしく既存の枠組みを批判的に検討し、それとは異なるあり方を編みだし提起してきた人たちでした。

哲学であれ芸術であれ、何らかのかたちで現実と接点を持ってこそ意味があると思います。それは必ずしも直接的に政治的であるということを意味しませんが、人間の活動がすべて政治的であるというのもまた真であると思います。自分で考え表現するすべての人のためにディセミネをつくりました。まずは一度授業に参加してもらえたらと思います。

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