ドゥルーズ&ガタリ『カフカ——マイナー文学のために』を読む[第6章〜]

発展★★★

※ この講座はすでに終了しています。


内容紹介

この講座では、ジル・ドゥルーズ(1925-1995)とフェリックス・ガタリ(1930-1992)による共著『カフカ——マイナー文学のために』(1975)を1章ずつ読んでいきます。『カフカ』は、その名の通りチェコの小説家フランツ・カフカ(1883-1924)をテーマにした文学論であると同時に、ドゥルーズとガタリによる文学を素材とした政治論・社会論でもあり、哲学の実践でもあります。

ドイツ語を話すユダヤ人だったカフカは、16世紀以来長らくオーストリア(ハプスブルク家)の支配下にあった当時のチェコ・プラハにおいて、チェコ人でもドイツ人でもない、いわば疎外された存在でした。そこから生み出されたカフカの独特の文体と作品に、ドゥルーズとガタリはマイノリティがもたらす革命的な力を見出し、それを「マイナー文学」として理論化することを試みます。

本書後半では、前半での議論をベースに、ドゥルーズ゠ガタリ独自のカフカ論、文学論、政治論が大々的に展開されていきます。「マイノリティ」はその存在自体が個人的なものではありえず、いやが応にも歴史的、社会的、政治的に規定されています。ドゥルーズとガタリの語る「マイナー文学」とは、きわめて個人的でありながらも集団的な条件を保持しつづけることによって、社会的条件を「引き受ける」特殊な言表として規定されるものです。

それとともにカフカは、人間があらゆる場面で「機械」の一部となっているさまを描き出した作家だとみなされます。社会とは人間だけでなくあらゆるものを部品としながら駆動する巨大な機械なのであり、文学や哲学の実践とは、この巨大な機械のありかたを分析し、分解し、組みかえることに存すると言えるでしょう。

ドゥルーズ゠ガタリのカフカに対する読解は、ひとりの作家論、文学論という枠を超え、芸術のもつ特殊な力を肯定し、引き伸ばすものです。本書で引用されているカフカの言葉にあるように、芸術とは「進んだ時計」であり「民衆の事柄」でもあるのです。

マイノリティの存在を現状を変革する力として積極的に取りこんでいくドゥルーズとガタリの理論は、「欲望」「アレンジメント」「機械」といった独特の用語ともあいまって、理解することは容易ではありませんが、そこには多様性の尊重やマイノリティの権利といった安易なスローガンとは異なる強靱な思考を読み取ることができます。

一冊の本を読み込むという経験は、まさにドゥルーズとガタリの語る「生成変化」そのものであり、これまでの読書経験そのものを新しくしてくれると思います。哲学書を読むとはどういうことなのか、あるいはどんな風に読めばいいのかを体験したい人、文章を追ってはいるけれど頭に入ってこないといった人にも是非参加してもらいたいと思います。

また『カフカ』は、『アンチ・オイディプス』(1972)、『千のプラトー』(1980)というドゥルーズ&ガタリによるふたつの大著にはさまれた作品でもあり、彼らの思想に興味がある人にもおすすめです。理解に必要なことについては、他の思想家や著作についても言及・解説します。

授業は基本的に毎回一章ずつ読んでいきます。こちらである程度の要点を整理した後で、参加者で軽く意見交換をしてみたいと思います。必ずしも事前に読むことは必要ではありませんが、目を通すだけでもしてきたほうがより理解が高まるかと思います。苦手な人は聞いているだけでも大丈夫です。

受講者にはGoogleクラスルームを使って資料の配付や、質問やコメントの受付を行います。適宜利用してください。ただし、必ず回答できるとは限りませんので、その点はご了承ください。

※[1章〜5章]を受けていない方も受講可能です。

※受講者はアーカイブ(録画)の視聴が可能です。一部の回に参加のご都合がつかない場合も、見逃しなく受講できます。

※アーカイブの視聴可能期間は、講座終了から1年間です。


テキスト

ジル・ドゥルーズ&フェリックス・ガタリ『カフカ——マイナー文学のために』宇野邦一訳、法政大学出版局、2017年

※著作権等の都合により、こちらでテキストを配るといったことはできません。ご購入いただくか図書館で借りるかなどして各自でご準備ください。テキストがなくても参加は可能です。

◆受講の流れ

1. お申し込み

2. 開講&受講の決定

3. リアルタイムで授業に参加/アーカイブを見る/クラスルームから資料にアクセス

◦リアルタイムでの授業への参加URLは、受講決定時に自動送信されるメールに記載されている他、マイページ内「ダッシュボード」からもご確認いただけます。

◦資料はGoogle社が提供する学習管理アプリケーション「Googleクラスルーム」から配布いたします。クラスルームにつきましては、受講決定時に送られるメール(「Googleクラスルームにご参加ください」)をご確認下さい。

◦アーカイブはマイページ内「受講状況」からご覧いただけるほか、本ページ下部の「授業スケジュール」およびクラスルームからもご覧いただけます。

◦ディセミネでの初回受講時に送られる招待メールを承認することで、Googleカレンダーと自動で同期が可能です。是非ともお使いください。

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授業予定

第1回 3月17日(日)13:30〜15:00

第6章「系列の増殖」


第2回 3月31日(日)13:30〜15:00

第7章「連結器」


第3回 4月14日(日)13:30〜15:00

第8章「ブロック、系列、強度」


第4回 4月29日(月・祝)13:30〜15:00

第9章「アレンジメントとは何か」


第5回 5月12日(日)13:30〜15:00

カフカ論の位置づけと展望


[第1〜5章](終了)
第1回 第3章「マイナー文学とは何か」
第2回 第2章「太りすぎのオイディプス」
第3回 第1章「内容と表現」
第4回 第4章「表現の構成要素」
第5回 第5章「内在性と欲望」

[1章〜5章]のアーカイブはこちら
https://disseminer.jp/courses/9

※ 授業の進捗等により予定が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

こんな人におすすめ

哲学書をしっかりと読んでみたい人
ドゥルーズ&ガタリの思想に興味がある人
フランス哲学に興味のある人
文学理論に興味にある人

講師情報

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渡辺洋平

1985年宮城県生まれ。京都大学総合人間学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科修了。
専門は思想史・芸術史。

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授業スケジュール

  • 2024年03月17日 13:30 〜 15:00

    第1回 第6章「系列の増殖」

     
  • 2024年03月31日 13:30 〜 15:00

    第2回 第7章「連結器」

     
  • 2024年04月14日 13:30 〜 15:00

    第3回 第8章「ブロック、系列、強度」

     
  • 2024年04月29日 13:30 〜 15:00

    第4回 第9章「アレンジメントとは何か」

     
  • 2024年05月12日 13:30 〜 15:00

    第5回 カフカ論の位置づけと展望