芸術作品を織りなす「視線」をとらえる——芸術の解釈と読解のプラクシス

開講期間: 2025年4月25日 2025年7月18日

隔週金曜日20:00〜21:30

入門★★☆

講義の開催が決定しました

授業回数7 回

受講料13,720 円

受講者数13(最低開講人数: 5)


内容紹介

※4/23講座タイトルが変更になりました。内容には変更ございません。
芸術作品にはそれを織りなすさまざまな「視線」が存在します。私たちが作品を見る視線、画家が描く対象を見る視線、同時代の人がその作品を見た視線、作品を通じてそれがつくられた時代や作者を見つめる後世の視線、等々…。これらの視線には、きわめて自覚的なものから無意識的に内在化されているものまで、さまざまなレベルのものが混在しています。

作品を見る視線も、単純に美的な対象物として見る視線と、美術史家が歴史学的に見る視線はおのずと異なってきますし、批評家や作家が作品へと向ける視線もまたこれらとは別種のものとなるでしょう。芸術にはさまざまな「視線」があらわれ、交錯しており、私たちはこれらさまざまな「視線」を通じて作品と向き合い、見つめ、理解しようとしているのです。

ときに「社会の鏡」とも言われるように、芸術は古来、それを生み出す社会と密接にかかわってきました。芸術作品とは、たんなる美的な対象や作者の個人的な表現であるにとどまらず、それが作られた時代や社会におけるさまざまな価値観や理想、矛盾や葛藤といったより大きな枠組みをうつしだしてしまうものでもあります。

しかしながら、こうしたある意味では「眼に映らない」ものを見るためには、それを「見つめるための視線」が必要となります。新しい視線で対象を見ることは、それまで見えなかったものを見る経験に他なりません。

本講座では、これまでの美学美術史学の成果を元にしつつ、西洋と日本の歴史からいくつかの特徴的な事例を選び、芸術作品の読み解きをいわば実地で学んでいきます。それによって芸術を織りなす「視線」をとらえ、習得し、作品の意味や価値を見出すための理解を獲得することを目指します。

芸術は、時にそう思われているように単に鑑賞して楽しむための対象ではなく、時代ごとに新たな価値や規範、感性、思考を表現することで、社会の中で様々な機能を果たしてきました。すぐれた芸術作品とは、たんなる作者の自己表現にとどまらず、それが作られた社会におけるある種の理想や問題点、そこに生きる人々の苦悩までをも取りこむことによって成立するのだとも言えるでしょうし、すぐれた芸術家とはまさに、みずからが生きている時代の流れや矛盾を本能的に感じ取り表現へともたらす者でもあるとも言えるでしょう。

本講座では、主としてルネサンスから現代にいたる約500年の西洋と日本の芸術を対象としつつ、作家自身だけでなく批評家や思想家の言葉とともに考察します。人間はその誕生以来、あらゆる社会において絵や詩を作ってきましたが、美学や美術史という領域が学問として成立したのは、実は比較的最近のことです。しかしながら、それ以降の美学および美術史学の発展は、作品に対するさまざまなアプローチを生み出し、作品から読み取ることのできる情報は飛躍的に増えています。こうした作品の読み取り方を学ぶことで、芸術との新しい接し方や、楽しみ方、さらには自身の感受性や思考の幅を拡げることを目指します。

取りあげる作家については、レオナルドから、ルーベンス、フェルメール、クールベ、モネ、バンクシーといった西洋美術の代表者から狩野永徳や長谷川等伯、北斎から 村上隆にいたる日本の作家を予定しています。

※受講者はアーカイブ(録画)の視聴が可能です。リアルタイムで授業に参加できない場合も見逃しなく受講できます。
※途中参加の場合も、全授業のアーカイブ動画をご覧いただけます。
※アーカイブの視聴可能期間は、講座終了から1年間です。


◆受講の流れ◆

1. お申し込み

2. 開講&受講の決定

3. リアルタイムで授業に参加/アーカイブを見る/クラスルームから資料にアクセス

◦リアルタイム授業への参加URLは、受講決定時に自動送信されるメールに記載されている他、マイページ内「ダッシュボード」からもご確認いただけます。

◦講師とのやりとりや資料の配付はGoogle社が提供する学習管理アプリケーション「Googleクラスルーム」から行います。クラスルームにつきましては、受講決定時に別途招待メールが届きますので、そちらからご参加ください。

◦アーカイブはマイページ内「受講状況」からご覧いただけるほか、本ページ下部の「授業スケジュール」およびクラスルームからもご覧いただけます。

◦ディセミネでの初回受講時に送られる招待メールを承認することで、Googleカレンダーと自動で同期が可能です。是非ともお使いください。

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授業予定

第1回 2025年4月25日(金)20:00~21:30

イントロダクション——芸術作品を「見る」ということ


第2回 2025年5月9日(金)20:00~21:30

芸術とは自由な表現なのか?——フェルメールとルーベンス、クールベ


第3回 2025年5月23日(金)20:00~21:30

中世から現代における芸術家の立ち位置——レオナルドからバンクシーまで


第4回 2025年6月6日(金)20:00~21:30

文化における視覚の差異——日本美術と西洋美術


第5回 2025年6月20日(金)20:00~21:30

西洋へのあこがれと反発のはざまで——日本近現代美術


第6回 2025年7月4日(金)20:00~21:30

「視覚」の可能性としての様式論


第7回 2025年7月18日(金)20:00~21:30

作品の意味と解釈

※ 授業の進捗等により予定が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

こんな人におすすめ

美術・芸術が好きな人
美学や美術史学、表象文化論に興味のある人
文化や芸術への教養を高めたい人
一歩進んだ美術の見方を学びたい人

講師情報

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渡辺洋平

1985年宮城県生まれ。京都大学総合人間学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科修了。
専門は思想史・芸術史。

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授業スケジュール

  • 2025年4月25日 20:00 〜 21:30

    第1回 イントロダクション——芸術作品を「見る」ということ

    参加可能人数: 無制限
     
    アーカイブ準備中
  • 次回開催

    2025年5月9日 20:00 〜 21:30

    第2回 芸術とは自由な表現なのか?——フェルメールとルーベンス、クールベ

    参加可能人数: 無制限
     
  • 2025年5月23日 20:00 〜 21:30

    第3回 中世から現代における芸術家の立ち位置——レオナルドからバンクシーまで

     
  • 2025年6月6日 20:00 〜 21:30

    第4回 文化における視覚の差異——日本美術と西洋美術

     
  • 2025年6月20日 20:00 〜 21:30

    第5回 西洋へのあこがれと反発のはざまで——日本近現代美術

     
  • 2025年7月4日 20:00 〜 21:30

    第6回 「視覚」の可能性としての様式論

     
  • 2025年7月18日 20:00 〜 21:30

    第7回 作品の意味と解釈

     

芸術作品を織りなす「視線」をとらえる——芸術の解釈と読解のプラクシス

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