ハンナ・アーレント『全体主義の起原』を読む[第12章-2〜]

隔週月曜日20:00〜21:30

発展★☆☆

講義の開催が決定しました

講義回数5 回

受講料9,800 円

現在の受講者数10(最低開講人数: 3)


内容紹介

この講座では、ハンナ・アーレント(1906-1975)の『全体主義の起原』を読んでいきます。日本語訳で3分冊の大著ですが、今なお読み継がれる全体主義研究の古典であり、ナチの手を逃れアメリカに行き着いたユダヤ人アーレントの名を一躍知らしめた本でもあります。

今期は、第12章第2節「秘密警察の役割」から最後まで読みます。その後『全体主義の起原』で言及はされていたものの十分には展開されていなかったふたつの問題、「政治とは何か」と「道徳とは何か」という問題について考えてみたいと思います。

アーレントは本書で「政治とはその本質からして公的生活の問題」であると書きました。この言葉は、『全体主義の起原』ではさらりと書かれているだけで、大きく論じられてはいません。しかしこの視点はその後のアーレント思想の中心をしめることになるものです。補論①では『全体主義の起原』の読解をベースに、アーレントの考えた「政治」や「人間性」について考察します。

全体主義体制における「責任」や「自由」の問題、そこから連動して発生する「罪」や「道徳」の問題も、彼女の晩年まで尾を引く問題でした。全体主義下における非人間的な犯罪をどう考えるのか。あるいはどのように裁くべきなのか。補論②では、後の講義なども参照しつつこの問題について考えてみたいと思います。

アーレントが考えたこれらの問題は現代社会を生きる私たちにとっても重要であることは言うまでもありません。この大きな問いについて『全体主義の起原』以降のアーレントの思想とつきあわせながら考えてみたいと思います。

20世紀最大の悲劇たる全体主義は、アーレントによればそれ以前の独裁制や専制政治とは全く異なるものでした。全体主義のありようを理解することとは、それが再び生まれることのないようにその徴候を察し、芽を潰していくことでもあります。現在の政治や社会の状況を理解するためのよすがとしても大きな意味をもつと思います。

必要に応じてアーレントの他の本にも言及・解説します。アーレントの思想全体に興味がある人にもおすすめです。

有名な本ですが、かなりの大著でおそらく読み通した人はそれほど多くはないでしょう。このレベルの本をきちんと読み考える経験は、単に自信になるだけでなく、読解力・思考力を大きく高めてくれます。これを機会にご自身でも読んでみるのはいかがでしょう。

授業は毎回指定の範囲を読んでいきます。こちらである程度の要点を整理した後で、参加者で軽く意見交換をしてみたいと思います。必ずしも事前に読むことは必要ではありませんが、目を通すだけでもしてきたほうがより理解が高まるかと思います。話をするのが苦手な人は聞いているだけでも大丈夫です。

受講者にはGoogleクラスルームを使って資料の配付や、質問やコメントの受付を行います。適宜利用してください。ただし、必ず回答できるとは限りませんので、その点はご了承ください。クラスルームについては別途ご連絡いたします。

※[10章〜12章-1]を受けていない方も受講可能です。

※受講者はアーカイブ(録画)の視聴が可能です。一部の回に参加のご都合がつかない場合も、見逃しなく受講できます。

※アーカイブの視聴可能期間は、講座終了から1年間です。


テキスト

ハンナ・アーレント『全体主義の起原3 全体主義』大久保和郎・大島かおり訳、みすず書房、2017年

※著作権等の都合により、こちらでテキストそのものを配ることはできません。ご購入いただくか図書館で借りるかなどして各自でご準備ください。テキストがなくても参加は可能です。

◆受講の流れ

1. お申し込み

2. 開講&受講の決定

3. リアルタイムで授業に参加/アーカイブを見る/クラスルームから資料にアクセス

◦リアルタイムでの授業への参加URLは、受講決定時に自動送信されるメールに記載されている他、マイページ内「ダッシュボード」からもご確認いただけます。

◦資料はGoogle社が提供する学習管理アプリケーション「Googleクラスルーム」から配布いたします。クラスルームにつきましては、受講決定時に送られるメール(「Googleクラスルームにご参加ください」)をご確認下さい。

◦アーカイブはマイページ内「受講状況」からご覧いただけるほか、本ページ下部の「授業スケジュール」およびクラスルームからもご覧いただけます。

◦ディセミネでの初回受講時に送られる招待メールを承認することで、Googleカレンダーと自動で同期が可能です。是非ともお使いください。

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授業予定

第1回 3月18日(月)20:00〜21:30

第12章−2「秘密警察の役割」


第2回 4月1日(月)20:00〜21:30

第12章−3「強制収容所」


第3回 4月15日(月)20:00〜21:30

第13章「イデオロギーとテロル」


第4回 4月29日(月)20:00〜21:30

補論①「政治とは何か」


第5回 5月13日(月)20:00〜21:30

補論②「道徳とは何か」


[10章〜12章-1](終了)
第1回 第10章−1「大衆」
第2回 第10章−2「モッブとエリートの一時的同盟」
第3回 第11章−1「全体主義のプロパガンダ」
第4回 第11章−2「全体主義組織」
第5回 第12章−1「国家機構」

[10章〜12章-1]のアーカイブはこちら
https://disseminer.jp/courses/12

※ 開講1週間前までは予定が変更される可能性があります。現時点での予定はページ下部にある各授業の内容を参照ください。

こんな人におすすめ

アーレントの思想に興味のあるひと
『全体主義の起原』を読んでみたいひと
現代の世界情勢をクリティカルに考えてみたいひと

講師情報

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渡辺洋平

1985年宮城県生まれ。京都大学総合人間学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科修了。
専門は思想史・芸術史。

講師情報の詳細を見る ▶


授業スケジュール

  • 2024年03月18日 20:00 〜 21:30

    第1回 第12章−2「秘密警察の役割」

    参加可能人数: 無制限
     
  • 2024年04月01日 20:00 〜 21:30

    第2回 第12章−3「強制収容所」

    参加可能人数: 無制限
     
  • 2024年04月15日 20:00 〜 21:30

    第3回 第13章「イデオロギーとテロル」

    参加可能人数: 無制限
     
  • 2024年04月29日 20:00 〜 21:30

    第4回 補論①「政治とは何か」

    参加可能人数: 無制限
     
  • 次回開催

    2024年05月13日 20:00 〜 21:30

    第5回 補論②「道徳とは何か」

    参加可能人数: 無制限
     

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