批評行為としての芸術——現代アートから世界をとらえる[現代アート入門第3期]
開講期間: 2024年11月18日 〜 2025年2月3日
隔週月曜日20:00〜21:30
入門★★☆
内容紹介
※11/3講座タイトルが変更になりました。内容に変更はありません。
アート(芸術)とは何でしょうか。あるいはアートとは何を目指すものなのでしょうか。 とりわけいわゆる「現代アート」と呼ばれるものにおいて、その表現方法や素材、主題はきわめて多様化し、かつて素朴に信じられていたような「美」の表現としてアートという認識はほとんど通用しないものとなりました。
たしかに日本語にも「美術」という言葉があるように注、芸術と美は一見分かちがたく結びついているようにも見えます。しかしながら、仮に芸術作品が美しさを目指すのだとしても、そもそもその美しさとは何か、という批評的かつ哲学的な問いから逃れることはできません。またたとえ誰もが承認せざるをえないような普遍的な美が存在するのだとしても、その普遍的な美と個別の美しいものはどう関係するのか、という古代ギリシャのプラトン以来の問いが避けがたく回帰してきます。
したがってアートとは、実のところ、その内部に批評的な視点を内包せずに成立することができないものです。特にそれまで絶対的なものとして君臨していた美術アカデミーの権威や規範から逸脱するような作品が生み出されるようになった19世紀以降、アートは既存の価値観の追認ではなく、ある種の信念や価値観、社会的メッセージ、批評的な眼差しの提案として多様化の一途をたどってきました。
本講座では、特にいわゆる「現代アート」が発展・展開してきた20世紀後半以降のアートから、いくつかの作家や作品をとりあげ、そこに込められた意味やそこで問われている問題を考えていきます。「ある作品が受けつがれていくのは、その作品がたった一つの意味を伝え続けるからではなく、さまざまな意味を暗示しているからだ」と言ったのは、フランスの批評家ロラン・バルトでした。
作品の意味を受け取り、生み出すのは鑑賞という行為であり、この意味でアート作品の鑑賞もまた批評的な行為です。逆に言えば、時代や地域を越え、多くの人にさまざまな意味や問いを生み出す作品こそ、「よい」作品として残っていくのだとも言えるでしょう。
アート作品の鑑賞とは、したがって、どこかにある「正しい意味」や「正解」を求める行為ではありません。鑑賞とはむしろ、作品から問いを引き出し、それに対する自分なりの回答を生み出す行為です。それが作者の思いや意図と一致することもあれば、一致しないこともあるでしょう。それが肯定的なものであれ否定的なものであれ、作者が想像もしていなかったような受けとられ方をすることも時にはあります。
しかし、いずれにしても、芸術鑑賞とは私たちの日常的な感性や思考を揺さぶり、その枠組みを大きく広げてくれる経験です。芸術の鑑賞によって自分自身の感性や思考を広げ、自分なりの視点を鍛えあげることは、ますます不安定になりゆく時代の中での自己の歩みをより確固たるものとしてくれるでしょう。この意味で、現代ほどアートないし芸術が重要なものとして現れる時代は他にありません。
この講座では、作品を通じて、そこにはいかなる問いが投げかけられていたのかを考えていきたいと思います。アーティストは時代の流れや空気を鋭敏に感じとり、それを作品というかたちで世に問います。それを受け取り、展開するのは受け手の役割です。この講座が、単に知識を得るだけのものでなく、みなさんの思考力や判断力、感性を高める機会になれば幸いです。
注 日本語の「美術」という言葉は、もともと明治期にフランス語の「beaux-arts」(直訳すると美しい技術)もしくはその英語訳である「fine arts」の翻訳語としてつくられた言葉です。
※本講座は「現代アート入門——芸術作品を感じ取るために」第1期、第2期の続編となります。
■現代アート入門——芸術作品を感じ取るために[第1期]
https://disseminer.jp/courses/22
■現代アート入門——芸術作品を感じ取るために[第2期]
https://disseminer.jp/courses/31
※授業ではスライドを使って作品をみていきます。ただし、著作権の都合により、作品画像を直接提示することができない場合が多くあります。その場合、作家の公式サイトや作品を収蔵している美術館のサイトなどへのリンクをお知らせする形で対応いたします。
※受講者はアーカイブ(録画)の視聴が可能です。リアルタイムで授業に参加できない場合も見逃しなく受講できます。
※途中参加の場合も、全授業のアーカイブ動画をご覧いただけます。
※アーカイブの視聴可能期間は、講座終了から1年間です。
↓
2. 開講&受講の決定
↓
3. リアルタイムで授業に参加/アーカイブを見る/クラスルームから資料にアクセス
アート(芸術)とは何でしょうか。あるいはアートとは何を目指すものなのでしょうか。 とりわけいわゆる「現代アート」と呼ばれるものにおいて、その表現方法や素材、主題はきわめて多様化し、かつて素朴に信じられていたような「美」の表現としてアートという認識はほとんど通用しないものとなりました。
たしかに日本語にも「美術」という言葉があるように注、芸術と美は一見分かちがたく結びついているようにも見えます。しかしながら、仮に芸術作品が美しさを目指すのだとしても、そもそもその美しさとは何か、という批評的かつ哲学的な問いから逃れることはできません。またたとえ誰もが承認せざるをえないような普遍的な美が存在するのだとしても、その普遍的な美と個別の美しいものはどう関係するのか、という古代ギリシャのプラトン以来の問いが避けがたく回帰してきます。
したがってアートとは、実のところ、その内部に批評的な視点を内包せずに成立することができないものです。特にそれまで絶対的なものとして君臨していた美術アカデミーの権威や規範から逸脱するような作品が生み出されるようになった19世紀以降、アートは既存の価値観の追認ではなく、ある種の信念や価値観、社会的メッセージ、批評的な眼差しの提案として多様化の一途をたどってきました。
本講座では、特にいわゆる「現代アート」が発展・展開してきた20世紀後半以降のアートから、いくつかの作家や作品をとりあげ、そこに込められた意味やそこで問われている問題を考えていきます。「ある作品が受けつがれていくのは、その作品がたった一つの意味を伝え続けるからではなく、さまざまな意味を暗示しているからだ」と言ったのは、フランスの批評家ロラン・バルトでした。
作品の意味を受け取り、生み出すのは鑑賞という行為であり、この意味でアート作品の鑑賞もまた批評的な行為です。逆に言えば、時代や地域を越え、多くの人にさまざまな意味や問いを生み出す作品こそ、「よい」作品として残っていくのだとも言えるでしょう。
アート作品の鑑賞とは、したがって、どこかにある「正しい意味」や「正解」を求める行為ではありません。鑑賞とはむしろ、作品から問いを引き出し、それに対する自分なりの回答を生み出す行為です。それが作者の思いや意図と一致することもあれば、一致しないこともあるでしょう。それが肯定的なものであれ否定的なものであれ、作者が想像もしていなかったような受けとられ方をすることも時にはあります。
しかし、いずれにしても、芸術鑑賞とは私たちの日常的な感性や思考を揺さぶり、その枠組みを大きく広げてくれる経験です。芸術の鑑賞によって自分自身の感性や思考を広げ、自分なりの視点を鍛えあげることは、ますます不安定になりゆく時代の中での自己の歩みをより確固たるものとしてくれるでしょう。この意味で、現代ほどアートないし芸術が重要なものとして現れる時代は他にありません。
この講座では、作品を通じて、そこにはいかなる問いが投げかけられていたのかを考えていきたいと思います。アーティストは時代の流れや空気を鋭敏に感じとり、それを作品というかたちで世に問います。それを受け取り、展開するのは受け手の役割です。この講座が、単に知識を得るだけのものでなく、みなさんの思考力や判断力、感性を高める機会になれば幸いです。
注 日本語の「美術」という言葉は、もともと明治期にフランス語の「beaux-arts」(直訳すると美しい技術)もしくはその英語訳である「fine arts」の翻訳語としてつくられた言葉です。
※本講座は「現代アート入門——芸術作品を感じ取るために」第1期、第2期の続編となります。
■現代アート入門——芸術作品を感じ取るために[第1期]
https://disseminer.jp/courses/22
■現代アート入門——芸術作品を感じ取るために[第2期]
https://disseminer.jp/courses/31
※授業ではスライドを使って作品をみていきます。ただし、著作権の都合により、作品画像を直接提示することができない場合が多くあります。その場合、作家の公式サイトや作品を収蔵している美術館のサイトなどへのリンクをお知らせする形で対応いたします。
※受講者はアーカイブ(録画)の視聴が可能です。リアルタイムで授業に参加できない場合も見逃しなく受講できます。
※途中参加の場合も、全授業のアーカイブ動画をご覧いただけます。
※アーカイブの視聴可能期間は、講座終了から1年間です。
◆受講の流れ◆
1. お申し込み↓
2. 開講&受講の決定
↓
3. リアルタイムで授業に参加/アーカイブを見る/クラスルームから資料にアクセス
◦リアルタイム授業への参加URLは、受講決定時に自動送信されるメールに記載されている他、マイページ内「ダッシュボード」からもご確認いただけます。
◦講師とのやりとりや資料の配付はGoogle社が提供する学習管理アプリケーション「Googleクラスルーム」から行います。クラスルームにつきましては、受講決定時に別途招待メールが届きますので、そちらからご参加ください。
◦アーカイブはマイページ内「受講状況」からご覧いただけるほか、本ページ下部の「授業スケジュール」およびクラスルームからもご覧いただけます。
◦ディセミネでの初回受講時に送られる招待メールを承認することで、Googleカレンダーと自動で同期が可能です。是非ともお使いください。
授業予定
第1回 2024年11月18日(月)20:00〜21:30
第2回 2024年12月2日(月)20:00〜21:30
第3回 2024年12月16日(月)20:00〜21:30
第4回 2025年1月6日(月)20:00〜21:30
第5回 2025年1月20日(月)20:00〜21:30
第6回 2025年2月3日(月)20:00〜21:30
芸術と女性の表象——ニキ・ド・サンファルとルイーズ・ブルジョワ
第2回 2024年12月2日(月)20:00〜21:30
イヴ・クラインと非物質的感性
第3回 2024年12月16日(月)20:00〜21:30
表象の限界——ゲルハルト・リヒターとダミアン・ハースト
第4回 2025年1月6日(月)20:00〜21:30
日本美術史と現代アート①——村上隆
第5回 2025年1月20日(月)20:00〜21:30
日本美術史と現代アート②——森村泰昌
第6回 2025年2月3日(月)20:00〜21:30
李禹煥ともの派
※ 授業の進捗等により予定が変更になる場合がございます。予めご了承ください。
こんな人におすすめ
現代アートに興味がある人
現代アートを一歩深く理解したい人
芸術について思想的・哲学的に考えてみたい人
美術や芸術に興味がある人
美大生、美大志望の高校生
現代アートを一歩深く理解したい人
芸術について思想的・哲学的に考えてみたい人
美術や芸術に興味がある人
美大生、美大志望の高校生
講師情報
授業スケジュール
2024年11月18日 20:00 〜 21:30
第1回 芸術と女性の表象——ニキ・ド・サンファルとルイーズ・ブルジョワ
参加可能人数: 無制限次回開催
2024年12月2日 20:00 〜 21:30
第2回 イヴ・クラインと非物質的感性
参加可能人数: 無制限2024年12月16日 20:00 〜 21:30
第3回 表象の限界——ゲルハルト・リヒターとダミアン・ハースト
2025年1月6日 20:00 〜 21:30
第4回 日本美術史と現代アート①——村上隆
2025年1月20日 20:00 〜 21:30
第5回 日本美術史と現代アート②——森村泰昌
2025年2月3日 20:00 〜 21:30
第6回 李禹煥ともの派
批評行為としての芸術——現代アートから世界をとらえる[現代アート入門第3期]
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