哲学史を編みなおす①——古典古代と幸福論:人間的な生とは何か
開講期間: 2025年3月31日 〜 2025年6月9日
隔週月曜日20:00〜21:30
入門★★☆
内容紹介
ところがこの問いは、実のところ答えるのが非常に難しい問いでもあります。古代ギリシャで生まれて以来、哲学はすでに2千数百年の歴史を持ち、多くの哲学者たちが時代に合わせて、さまざまな問題についてさまざまな答えを生みだしてきたからです。その中には互いに対立し合う見解も数多く含まれており、哲学とは何かという問いに対する答えは、究極的にはひとりひとりの哲学者によって異なるとさえ言えます。
しかしながら、このように「哲学」が輪郭のはっきりしない謎めいたものであるのに対し、はっきりしていることもあります。それは歴史上「哲学者」と呼ばれる人びとが存在し、彼らが書いた「哲学書」と呼ばれる本がある、ということです。プラトンの書いたソクラテスを主人公とする対話篇から、デカルトの『方法序説』、カントの『純粋理性批判』、ハイデガーの『存在と時間』など、哲学の歴史はそれをいろどる哲学書の歴史であるとも言えます。
この講座では、毎回メインとなる哲学書をひとつ選び、それらをつないでいくことで新たな哲学史をつむいでいきます。単純に哲学者の思想を年代順に紹介するのではなく、講座のテーマにとって重要となる哲学書を選ぶことで、哲学的な問いをよりクリアに、また多面的に理解することを目指します。
哲学の歴史とは人間の思考の歴史であり、哲学史を学ぶことは単に過去の歴史を学ぶことではありません。「幸福とは何か」「善悪とは何によって決まるのか」「正しいとはどういうことか」といった根源的な問いは哲学の誕生とともに生まれ、現代においても重要な問いであり続けていますし、また時代とともに「差異とは何か」「他者とはいかなる存在か」「動物にはどんな権利があるのか」といった新たな問いも絶えず生まれてきています。哲学とは、この意味で、絶えず生成する問いと向き合い、答えを生み出しつづける行為だと言うことができます。
したがって先人たちの問題意識と葛藤の過程を学ぶことは実は、単に知識を得るというだけでなく、現代の事象を考えることに直結するきわめてアクチュアルな行為です。哲学史・思想史を学ぶことは、ますます混迷をきわめる現代において、自分自身の足場を確保し進むべき道を探すための大きな道標となってくれるでしょう。
取りあげる著作については、近年の研究成果も随時参照しつつ、著者についての情報や時代背景、他の哲学者との関連なども必要に応じて紹介していきますので、哲学について詳しくない人はもちろん、あらためて学び直したい人、基本的な知識がある人にとっても新しい発見があるはずです。古代から現代に至るまで連綿と続く哲学という営みを具体的に理解し、受講者ひとりひとりが、現代の問題と向き合い、自分自身の思考と生き方を見つめなおすためのよすがを得ることが目標です。
また特に20世紀後半以降の哲学や思想を理解するためにも哲学史の知識は必須となります。いわゆる現代思想に興味がある方も、まずはここから始めてもらえたらと思います。
授業後には毎回内容に関連する問いを提示する予定です。回答は強制ではありませんが、お時間のある方はその問いと向き合い、考えてみて下さい。提出された答えは、同意を得られたものについては匿名化したうえで、受講者へ共有したいと思います。それによってまた自分とは異なる視点を発見することができるはずです。
今期の内容
「古典古代と幸福論」と題した今回は、「幸福」というテーマを軸に哲学が誕生した古代ギリシャからそれを受けついだ古代ローマまでをで取りあげます。
いつどこで哲学がはじまったのかについては諸説ありますが、それが古代ギリシャで誕生したこと、やがてソクラテスと呼ばれる人物のまわりで何か重大な転回が生じたこと、そのソクラテスの影響の下、プラトンとアリストテレスという二人の巨大な思想家によってひとつの学というまでに発展・展開させられたこと、これらについては異論の余地がありません。
従来の哲学史ではあまり重要視されてきませんでしたが、彼らには「幸福」について論じるという共通点がありました。その発端には、民衆裁判で死刑になったソクラテスが、その死の直前に、「たんに生きるよりもよく生きることが大事なのだ」と語ったというよく知られたエピソードがありますが、ソクラテスの影響を受けたプラトンもアリストテレスも、独自の幸福論を展開しています。そしてこの幸福論は、アリストテレスの次に登場してくるエピクロス派とストア派から、「最後のローマ人」と呼ばれたボエティウスに至るまで古代の思想の底流に流れ続けています。
この時期哲学は、単なる理論的な探求にとどまらず、「いかに生きるか」というより実践的な問いと密接にかかわっていました。そこで論じられたある種の精神的な価値は、物質的なものがますます力をもつ現代において、オルタナティブな視点を与えてくれるだけでなく、「人間的な生とは何か」という根源的な問題に対してもいくつかの答えを与えてくれるはずです。
各回で取りあげる著作
第1回 プラトン『クリトン』第2回 プラトン『国家』
第3回 アリストテレス『ニコマコス倫理学』
第4回 エピクロス「メノイケウスへの手紙」
第5回 セネカ『幸福な生について』
第6回 ボエティウス『哲学のなぐさめ』
※各回の授業タイトルは下記「授業予定」をご覧ください。
※受講者はアーカイブ(録画)の視聴が可能です。リアルタイムで授業に参加できない場合も見逃しなく受講できます。
※途中参加の場合も、全授業のアーカイブ動画をご覧いただけます。
※アーカイブの視聴可能期間は、講座終了から1年間です。
◆受講の流れ◆
1. お申し込み↓
2. 開講&受講の決定
↓
3. リアルタイムで授業に参加/アーカイブを見る/クラスルームから資料にアクセス
◦リアルタイム授業への参加URLは、受講決定時に自動送信されるメールに記載されている他、マイページ内「ダッシュボード」からもご確認いただけます。
◦講師とのやりとりや資料の配付はGoogle社が提供する学習管理アプリケーション「Googleクラスルーム」から行います。クラスルームにつきましては、受講決定時に別途招待メールが届きますので、そちらからご参加ください。
◦アーカイブはマイページ内「受講状況」からご覧いただけるほか、本ページ下部の「授業スケジュール」およびクラスルームからもご覧いただけます。
◦ディセミネでの初回受講時に送られる招待メールを承認することで、Googleカレンダーと自動で同期が可能です。是非ともお使いください。

授業予定
ソクラテスと「よく生きること」——プラトン『クリトン』
第2回 2025年4月14日(月)20:00〜21:30
自己自身を王として支配する——プラトン『国家』
第3回 2025年4月28日(月)20:00〜21:30
最高善としての幸福——アリストテレス『ニコマコス倫理学』
第4回 2025年5月12日(月)20:00〜21:30
快楽とアタラクシア——エピクロス「メノイケウスへの手紙」
第5回 2025年5月26日(月)20:00〜21:30
自然に合致した生——セネカ『幸福な生について』
第6回 2025年6月9日(月)20:00〜21:30
幸福な人はだれもが神——ボエティウス『哲学のなぐさめ』
※ 授業の進捗等により予定が変更になる場合がございます。予めご了承ください。
こんな人におすすめ
哲学を学んでみたいが何から手をつけていいか分からない人
哲学をあらためて学び直したい人
「よき生」について考えてみたい人
「幸福」とは何かについて考えてみたい人
講師情報

授業スケジュール
2025年3月31日 20:00 〜 21:30
第1回 ソクラテスと「よく生きること」——プラトン『クリトン』
参加可能人数: 無制限次回開催
2025年4月14日 20:00 〜 21:30
第2回 自己自身を王として支配する——プラトン『国家』
参加可能人数: 無制限2025年4月28日 20:00 〜 21:30
第3回 最高善としての幸福——アリストテレス『ニコマコス倫理学』
2025年5月12日 20:00 〜 21:30
第4回 快楽とアタラクシア——エピクロス「メノイケウスへの手紙」
2025年5月26日 20:00 〜 21:30
第5回 自然に合致した生——セネカ『幸福な生について』
2025年6月9日 20:00 〜 21:30
第6回 幸福な人はだれもが神——ボエティウス『哲学のなぐさめ』
哲学史を編みなおす①——古典古代と幸福論:人間的な生とは何か
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