フロイト−ラカンから考える人間集団のあり方——「エディプス」の社会的意味とその行方を問う

開講期間: 2026年12月16日 〜 2027年3月3日

隔週水曜日19:00〜20:30

難易度: 入門〜中級※ 難易度についてはこちらを参照ください。

受講者募集中

事前募集期間2026年12月9日 21:00 まで
授業回数6 回
受講料通常 12,600 円
11月30日23:59 まで11,900 円
現在の申込数0名(最低開講人数: 5)
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※ 事前募集期間中にお申し込み数が最低開講人数に達しなかった場合は不開講となります。


内容紹介

本講座では、精神分析思想(特にフロイト、ラカン)をメインに、社会思想、政治思想を参照しながら、近代から現代に至る人間集団のあり方について考えます。

フロイト以来、神経症の治療を通じ、人の心の機序について思索を広げた精神分析理論。そこでは個人のみならず、これを含む人間集団のあり方もまた問題にされてきました(cf.フロイト『集団心理学と自我分析』)。どのような社会制度のうちに人が生きるのか、そこで人はどのような役割に応じようとしているのかーーそうした問いは、ひとりの人間の心を捉えようとするとき、確かに必須のものでしょう。

さらに、そうした人間集団のあり方は、歴史的に見るとき、非常に具体的な課題を抱えたものとして精神分析理論の前に現れてきたものでもあります。

近代社会を作り出した市民革命と、それ以来、社会の前提条件となった自由と平等、
資本主義的産業活動が生み出したブルジョワジーとプロレタリアートの階級分裂、
社会と家族との双方で再生産される家父長制とジェンダー差別、
国家権力と分かちがたく浸透する民族主義・ナショナリズム、
西洋社会の繁栄の裏面で展開された植民地主義、
人間集団相互の憎しみと争いを助長するレイシズムなど……


今日にも続くこうした現実的諸問題が、フロイトやラカンの思想の背景にいつも控えていたのです。それでは、そうした諸問題は、彼らの理論にいかに反映されているのでしょうか。またそうした諸問題をさらに深めて考える手がかりを、彼らの理論から取り出してくることはできないでしょうか。

このような問いを考えるにあたって、本講座で「鍵」として注目するのが、精神分析の最重要概念とも言うべき「エディプスコンプレクス」です。「子供時代に存在すると想定される父への敵意と母への思慕の感情複合状態」と要約できるこの概念は、単なる個人の経験をめぐる心理的事実の指摘ではありません。むしろ、「父」という特別な存在が「家族」を超えて人間社会全体のうちで機能する仕方を考えるための、大きな手掛かりともなります。

そこで本講座では、フロイトやラカンがこの概念に注目しこれを発展させていった過程やその時代背景、さまざまな批判者によって指摘されたその限界、さまざまな他の社会思想との接点について紹介し、近代・現代の社会構成についてより深く考える機会を提供します。

各回内容

第一回:精神分析を発明するその頃、フロイトはどのようにして「父」という問題を発見し、それに取り組んだのでしょうか。その背景にある「自由で平等な市民社会」の理念と、「父」という特権的人格の矛盾という論点に注目しつつ、ホッブズやルソーの「社会契約」論も参考にしながら、解説を行います。

第二回:フロイトの「エディプスコンプレクス」概念の作り込みの背景には、強迫神経症の臨床経験から取り出された「罪」の問題と、人類学を参照とするその検討がありました。ヨーロッパの宗教的伝統とも関わるこの側面を、ラカンによる読解、さらにI.カントの道徳論などを参考にしつつ解説します。

第三回:第一次世界大戦の終結は、中央ヨーロッパに帝国の解体をもたらし、「ネーション国家」形成という課題を突きつけました。この重大な変化の局面が、フロイトにおいて「父」や「集団」についての考察にどのような影響を与えたか、シュミットやケルゼン、アーレントなどの政治思想を参照しつつ解説します。

第四回:1920年代、フロイトは「エディプスコンプレクス」の詳細な議論に取り組みますが、それは女性分析家たちによる反論を背景として為されたものでした。精神分析における性差という問題、さらにその問題が社会的マジョリティ/マイノリティーをめぐる議論といかに重なりうるかについて、ラカンやバトラーにも目を向けながら解説します。

第五回:フロイトは、男性的なエディプスコンプレクスの過程から生じる超自我と異なるものとして、女性的過程に由来する「女性的超自我」に言及しています。「父」を中心とする道徳とは別の道徳の可能性は、のちにギリガンが提唱した「ケアの倫理」といかに重なるでしょうか。精神分析をジェンダー問題に応用したチョドロウの議論も参考に解説します。

第六回:エディプスコンプレクスとは何だったのか?どんな社会的現実の反映だったのか?それは今日でも通用するのか?いわゆる「ポストモダン」以後における「父」の問題について、ドゥルーズ=ガタリの『アンチオイディプス』や、ラカン晩年の議論を紹介しながら、考える手がかりを提供します。

講義内容の一部は拙著 『異境のフロイト』(岩波書店、2026)で論じられた内容に基づきます。ご関心のある方は参考文献としてご一読いただければ幸いです。

※受講者はアーカイブ(録画)の視聴が可能です。リアルタイムで授業に参加できない場合も見逃しなく受講できます。
※途中参加の場合も、全授業のアーカイブ動画をご覧いただけます。
※アーカイブ動画は、最低1年間視聴可能です。


◆受講の流れ◆

1. お申し込み
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2. 開講&受講の決定
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3. リアルタイムで授業に参加/アーカイブを見る/クラスルームから資料にアクセス

◦リアルタイム授業への参加URLは、受講決定時に自動送信されるメールに記載されている他、クラスルーム(下記)、マイページ内「ダッシュボード」からもご確認いただけます。また、各授業日の2日または3日前にリマインダーメールをお送りいたします。

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◦クラスルームの使い方についてはこちらをご覧ください。

◦アーカイブはマイページ内「受講状況」からご覧いただけるほか、本ページ下部の「授業スケジュール」およびクラスルームからもご覧いただけます。

◦ディセミネでの初回受講時に送られる招待メールを承認することで、Googleカレンダーと自動で同期が可能です。是非ともお使いください。

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授業予定

第1回 2026年12月16日(水)19:00〜20:30

市民社会と「父」という問題


第2回 2027年1月6日(水)19:00〜20:30

イエディプスコンプレクスと「文明」


第3回 2027年1月20日(水)19:00〜20:30

ナショナリズムと「超自我」


第4回 2027年2月3日(水)19:00〜20:30

精神分析的女性論とマイノリティへの視座


第5回 2027年2月17日(水)19:00〜20:30

女性的超自我からケア倫理へ


第6回 2027年3月3日(水)19:00〜20:30

21世紀のエディプス論の射程

※ 授業の進捗等により予定が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

こんな人におすすめ

精神分析理論(特にフロイト、ラカン)について詳しく知りたい方
近代・現代の社会思想について知りたい方
個人心理と社会の関係を考えたい方

講師情報

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上尾真道

広島市立大学准教授
精神分析・思想史

講師情報の詳細を見る ▶


授業スケジュール

  • 次回開催

    2026年12月16日 19:00 〜 20:30

    第1回 市民社会と「父」という問題

    参加可能人数: 無制限
     
  • 2027年1月6日 19:00 〜 20:30

    第2回 エディプスコンプレクスと「文明」

     
  • 2027年1月20日 19:00 〜 20:30

    第3回 ナショナリズムと「超自我」

     
  • 2027年2月3日 19:00 〜 20:30

    第4回 精神分析的女性論とマイノリティへの視座

     
  • 2027年2月17日 19:00 〜 20:30

    第5回 女性的超自我からケア倫理へ

     
  • 2027年3月3日 19:00 〜 20:30

    第6回 21世紀のエディプス論の射程

     

フロイト−ラカンから考える人間集団のあり方——「エディプス」の社会的意味とその行方を問う

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