物質・生命・人間はいかに組織されるのか——ドゥルーズ゠ガタリ『千のプラトー』「道徳の地質学」を読む
開講期間: 2026年9月28日 〜 2026年12月7日
隔週月曜日20:00〜21:30
難易度: 中級〜発展※ 難易度についてはこちらを参照ください。
受講者募集中
事前募集期間2026年9月21日 21:00 まで
授業回数6 回
現在の申込数1名(最低開講人数: 5)
※ 事前募集期間中にお申し込み数が最低開講人数に達しなかった場合は不開講となります。
内容紹介
哲学史上においても破格なスタイルをもつ『千のプラトー』は、哲学や文学、芸術から、言語学、人類学、歴史学、神話学、さらには生態学や動物行動学にいたる膨大な知を独自の視点でとらえなおし、取りこみ、再配置することで、この世界の事象を動的なプロセスにおいて一貫して捉えることを試みます。ある対象がどのように生成・発展し、どこに向かおうとしているのか、どのような力によって生みだされ、どのような可能性や危険性をもっているのか。事象を動的なプロセスにおいてとらえることは、対象を固定した秩序の内にあるものとしてではなく、その生成の方向性や可塑性をとらえることを意味します。
なかでもこの「道徳の地質学」のプラトーは、「地層化」という概念が打ち出され、物質的なものにかかわる物理化学的な地層、生命現象にかかわる有機的な地層、人間的なものにかかわる人間形態論的地層という三つの「地層」のそれぞれがどのように組織され、分節されているのかが論じられます。この物質・生命・人間を同じ概念によってとらえようとする視点は『千のプラトー』の理論的核というべきものであり、人工と自然、動物と人間、個人と社会といった区別そのものを問い直そうとするドゥルーズ゠ガタリの議論の根幹を提示してくれるものです。
しかしながら、叙述の方式がコナン・ドイルの小説に出てくるチャレンジャー教授の講演という破格のスタイルをとり(しかも教授は、最後には溶けてなくなってしまう)、神話から(当時の)分子生物学、ジルベール・シモンドンの個体化の哲学やアンドレ・ルロワ゠グーランによる先史人類学までも引用・参照されながら展開される議論は、簡単に理解できるとはいいがたいのもまた事実です。
そこで本講座では、この第3プラトーを冒頭から順を追ってたどるのではなく、主題ごとに行ったり来たりを繰り返すことで、議論の枠組みを浮かび上がらせつつ読んでいきたいと思います。それによって個々の議論が明確になるだけでなく、全体の入り組んだ構造を整理して理解することができるようになるはずです。
具体的には、初回で地層化の概念と、存立平面、器官なき身体、抽象機械、樹木/リゾームといった『千のプラトー』全体の枠組みとかかわる概念の関係性を確認した後、第2回から第5回で地層概念の構成と物理化学的地層、有機的地層、人間形態論的地層のそれぞれを検討していきます。これらの議論は、物質、生命、人間を段階的に発達したものとみなす「笑うべき宇宙的進化論」を拒むとともに、人間を他の存在に対して優越したものとみなす人間中心的な視点を退けるためのものです。ドゥルーズ゠ガタリによれば、人間もまた世界を組織する「地層」のひとつでしかなく、物理化学的地層や有機的地層に対して特権性をもつわけではありません。そして最後に、第3プラトーの内容をまとめつつ、それが以下のプラトーにどうつながっていくかを確認します。
『千のプラトー』はあらゆる対象、あらゆる事象を、固定され、階層化されたものとしてではなく、生成プロセスの途上にあるものとしてとらえようとします。地質学的な意味での「地層」が膨大な時間の中で生成するものであるように、『千のプラトー』においても「地層」はもっとも巨大かつ広範囲の生成をとらえるための概念です。人間もまたこうした地層のひとつにすぎません。
そして長い時間をかけて生成してきたことは、それが絶対的なものであることを保証するわけではありません。ドゥルーズ゠ガタリによれば、地層化にはつねに脱地層化の動きがともなっており、それによって世界はつねに動的なプロセスのなかにありつづけます。動的なプロセスとその価値評価に向けた議論の骨格を作ること、これこそが「道徳の地質学」の主題だったと言えるでしょう。
ますます激動していく時代をどう生きのびるか、事象の生成プロセスをとらえ、その可能性と危険性を同時に主題とする『千のプラトー』の読解はいまこそその重要性を増していると言えます。
「道徳の地質学」の議論は、『千のプラトー』全体の骨格を形成するものであり、同書の読解において避けて通ることのできない難所です。『千のプラトー』を読んでみたい方、読んだことがあるが理解できなかった方、20世紀のフランス哲学に興味がある方などの受講をお待ちしております。
「道徳の地質学」はフランス語の原書で約40ページ、日本語訳でも文庫本で70ページほどの分量です。是非ともご自身でも手に取って読んでみて下さい。
★テキスト★
ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ『千のプラトー』上巻、宇野邦一ほか訳、河出文庫、2010年※受講者はアーカイブ(録画)の視聴が可能です。リアルタイムで授業に参加できない場合も見逃しなく受講できます。
※途中参加の場合も、全授業のアーカイブ動画をご覧いただけます。
※アーカイブ動画は、最低1年間視聴可能です。
◆受講の流れ◆
1. お申し込み↓
2. 開講&受講の決定
↓
3. リアルタイムで授業に参加/アーカイブを見る/クラスルームから資料にアクセス
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◦アーカイブ動画はマイページ内「受講状況」からご覧いただけるほか、本ページ下部の「授業スケジュール」およびクラスルームからもご覧いただけます。
◦ディセミネでの初回受講時に送られる招待メールを承認することで、Googleカレンダーと自動で同期が可能です。是非ともお使いください。

授業予定
全体的な枠組みの確認——地層と存立平面、二つの抽象機械、樹木とリゾーム
第2回 2026年10月12日(月)20:00〜21:30
地層の二重分節と物理化学的地層
第3回 2026年10月26日(月)20:00〜21:30
物質から生命へ——有機的地層
第4回 2026年11月9日(月)20:00〜21:30
口と手、言語と道具——人間形態論的地層①
第5回 2026年11月23日(月)20:00〜21:30
言語の帝国主義——人間形態論的地層②
第6回 2026年12月7日(月)20:00〜21:30
まとめと展開——抽象機械と機械状アレンジメント
※ 授業の進捗等により予定が変更になる場合がございます。予めご了承ください。
こんな人におすすめ
『千のプラトー』に興味がある人
『千のプラトー』を読んだがよくわからなかった人
20世紀のフランス哲学に興味がある人
講師情報

授業スケジュール
次回開催
2026年9月28日 20:00 〜 21:30
第1回 全体的な枠組みの確認——地層と存立平面、二つの抽象機械、樹木とリゾーム
参加可能人数: 無制限2026年10月12日 20:00 〜 21:30
第2回 地層の二重分節と物理化学的地層
2026年10月26日 20:00 〜 21:30
第3回 物質から生命へ——有機的地層
2026年11月9日 20:00 〜 21:30
第4回 口と手、言語と道具——人間形態論的地層①
2026年11月23日 20:00 〜 21:30
第5回 言語の帝国主義——人間形態論的地層②
2026年12月7日 20:00 〜 21:30
第6回 まとめと展開——抽象機械と機械状アレンジメント
物質・生命・人間はいかに組織されるのか——ドゥルーズ゠ガタリ『千のプラトー』「道徳の地質学」を読む
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