全体主義へいかに抗うか——反ナチ抵抗運動に身を投じた神学者ボンヘッファーの思想と生涯から学ぶ

開講期間: 2026年4月14日 2026年6月30日

隔週火曜日20:00-21:30(一部例外あり)

難易度: 入門※ 難易度についてはこちらを参照ください。

受講者募集中

募集期間2026年4月7日 21:00 まで

授業回数6 回

受講料12,600 円

現在の申込数2(最低開講人数: 5)


内容紹介

現在、世界のいくつかの国では「極右」とされる思想を持つ人々が力を増し、急激に極右政党が議席を伸ばしています。様々な場所で、排外主義が堂々と声高に唱えられ、また、全体主義的な思想さえも囁かれ始めています。こうした時代のなかで、私たちはどのように生きていくべきなのでしょうか。どのように、この混沌とした時代で「抵抗」することができるのでしょうか。

本講座で扱うドイツ人のプロテスタント神学者/牧師ディートリッヒ・ボンヘッファー(Dietrich Bonhoeffer, 1906-1945)は、反ナチ抵抗運動に身を投じ、1943年に逮捕、1945年に死刑が執行され、その短い生涯を終えました。

21歳で博士論文を完成させ、若き天才神学者として注目を集めていたボンヘッファーは、はやい段階から神学者として、あるいは教会内部から、ヒトラーを批判し続けました。そして最終的には、ヒトラー暗殺やクーデターを計画するグループに参加するに至ります。ボンヘッファーは、「殺すことなかれ」とするキリスト教を信仰しながら、むしろキリスト教の信仰に基づいてそうした計画をも受け入れる道を選んだのです。

当時のキリスト教界には、ナチスを支持する勢力、批判する勢力、ただ動向を見守るに徹した勢力、様々な人がいました。ですが、ボンヘッファーのように、教会外部の政治的な反ナチ抵抗運動グループに参加した人間は稀でした。

そこに葛藤がなかったわけではありません。それでもボンヘッファーは、目の前で進み続ける全体主義、そして惨劇に対して、黙って何もしないでいていいはずがないと考えたのです。

ですが、まさにボンヘッファーが抵抗したナチス・ドイツの惨劇を経たドイツでもなお、排外主義を唱える極右政党である「ドイツのための選択肢」が急激に議席を増やしているのが、私たちの生きる時代なのです。

また、近年ボンヘッファーは、アメリカにおいてトランプを支持する福音主義者らが自らの暴力を肯定するためにボンヘッファーの言葉を「濫用」したことによって、残念な形で注目を集めてもいます。国際ボンヘッファー協会や遺族・関係者は、こうした動きに対して反対声明を発表しました。

アメリカでは2024年、日本では2025年、ボンヘッファーを扱った映画(邦題『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』、原題:Bonhoeffer: Pastor. Spy. Assassin.)が公開されました。この映画は内容自体がそもそも批判的な議論の対象になっています。ただそれだけではなく、この映画も、こうした「濫用」のためにかつがれることとなり、映画参加者らが声明を出すに至っています。

ボンヘッファーは、ただ単純に暗殺や暴力を肯定したわけでは決してありません。早い時期からナチス・ドイツの姿勢やユダヤ人迫害を問題視し、一貫してナチス・ドイツの暴力に抵抗し続けた人でした。

だからこそ、そして今の時代にこそ、本講座は、ボンヘッファーをよく知らない方向けに、ボンヘッファーの思想と生涯を、特に反ナチ抵抗運動との関わりを中心に概観し、ボンヘッファーに関する基礎的な知識を示します。あわせて、ボンヘッファーの生きたナチス・ドイツ期の時代状況や、特にプロテスタントにおける様々な反ナチ抵抗運動についても扱います。

そうすることで、今、一部で流布しているような、自らの目的のためには暴力をただ許容するような誤ったボンヘッファー理解ではなく、全体主義や排外主義の引き起こす惨劇に抵抗し続けたボンヘッファーの生涯と思想を示します。

ボンヘッファーは短命でありながら多くの著作を記し、さらには説教や書簡も多く残しました。本講座では、様々なテキストを抜粋・紹介しながら、ボンヘッファーがどのようなことを考えていたのか、どのような人生を送ったのかを検討し、その「抵抗」の道筋を辿っていきます。

ボンヘッファーは模索し続けました。あまりに問題が多く、ただそれに従っていればそれで良いと言えるような体系的な倫理が見出し難い時代のなかで——それは、今の時代も同じでしょう——、どのように倫理を語ることができるのか?倫理原則が現実の状況と衝突せざるをえない瞬間から目を逸らさない、それがボンヘッファーのキリスト教倫理の特色です。

ボンヘッファーは、自分は何もせず潔白でいようとするのではなく、「罪の引き受け」をしてでも「抵抗」を選ぶことを主張しました。ただ同時に、そうした限界的な状況のなかで選んだ選択肢を、いつでも肯定していいわけでは決してないことも主張しました。

目の前の現実や状況を見据えながら、しかしそれにただ追従するのではなく、何もしないでいるのではなく、様々な原則の衝突のなかで、「抵抗」すること。ここに、全体主義への抵抗の道があります。まだあまりにも問題が多いままの、増える一方の現代においても、その問題を無視するのでもただ受け入れ諦めるでもない倫理を考えるために、ボンヘッファーのキリスト教倫理は参考になるでしょう。

現実は常に複雑です。排外主義を唱える人々が世界中で増えていること、全体主義さえも力を増し始めていること、それらにも様々な背景要因があります。憎しみだけではなく、様々な苦しみもまた、その背景にはあります。現実をみつめればみつめるほど、こうした世界の大きな流れに心折れそうに感じる瞬間が訪れます。

ですが、この流れによって心折れるではすまない状況に陥る/陥っている人々がいます。私たちは、「抵抗」することができるはずです。

歴史を振り返れば、「抵抗」してきた人たちもまた多くいるのです。ボンヘッファーの思想や生涯について知ることは、単にナチス・ドイツ時代の神学者を知るということ以上の意味をもたらしてくれます。この混沌とした時代を生きる私たちが、それでも、「抵抗」するため、そのためのヒントが、ボンヘッファーのなかにはあります。

どのように「抵抗」すればいいのか?私たち自身もまた、模索し続けなければなりません。

その模索のためにも、ボンヘッファーやナチス・ドイツ期の抵抗運動について関心がある方はもちろん、ボンヘッファーのことは全く知らなくても、宗教と倫理のつながりについて知りたい方、あるいは宗教にも興味がなくても、この絶え間なく問題の起きる時代において葛藤している方、全体主義への抵抗に関して何か学びたい方には、是非ボンヘッファーという人がいたこと、ボンヘッファーが考えていたことについて知って欲しいと願っています。

※受講者はアーカイブ(録画)の視聴が可能です。リアルタイムで授業に参加できない場合も見逃しなく受講できます。
※途中参加の場合も、全授業のアーカイブ動画をご覧いただけます。
※アーカイブ動画は、最低1年間視聴可能です。


◆受講の流れ◆

1. お申し込み

2. 開講&受講の決定

3. リアルタイムで授業に参加/アーカイブを見る/クラスルームから資料にアクセス

◦リアルタイム授業への参加URLは、受講決定時に自動送信されるメールに記載されている他、クラスルーム(下記)、マイページ内「ダッシュボード」からもご確認いただけます。また、各授業日の2日または3日前にリマインダーメールをお送りいたします。

◦講師とのやりとりや資料の配付、講座に関する運営からのお知らせ等は、Google社が提供する学習管理アプリケーション「Googleクラスルーム」から行います。クラスルームにつきましては、受講決定時に別途招待メールが届きますので、そちらからご参加ください。

◦クラスルームの使い方についてはこちらをご覧ください。

◦アーカイブはマイページ内「受講状況」からご覧いただけるほか、本ページ下部の「授業スケジュール」およびクラスルームからもご覧いただけます。

◦ディセミネでの初回受講時に送られる招待メールを承認することで、Googleカレンダーと自動で同期が可能です。是非ともお使いください。

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授業予定

第1回 2026年4月14日(火)20:00〜21:30

ボンヘッファーの生涯と時代状況


第2回 2026年4月28日(火)20:00〜21:30

ボンヘッファーの神学とヒトラー批判


第3回 2026年5月12日(火)20:00〜21:30

教会闘争と告白教会:ナチス・ドイツ期の抵抗運動


第4回 2026年6月2日(火)20:00〜21:30

ボンヘッファーのキリスト教倫理


第5回 2026年6月16日(火)20:00〜21:30

「罪の引き受け」:責任を負う生と反ナチ抵抗運動


第6回 2026年6月30日(火)20:00〜21:30

獄中書簡にみるボンヘッファーが目指していたもの

※ 授業の進捗等により予定が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

こんな人におすすめ

ボンヘッファーについて知りたい人
ナチス・ドイツ期の抵抗運動に関心がある人
キリスト教に関心がある人
キリスト教倫理に関心がある人
自分の信じる原則と現実の状況のなかで葛藤を覚えている人
全体主義に抵抗したい人

講師情報

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逢坂暁乃

倫理学・宗教学——特にナチス・ドイツ期のプロテスタント神学

講師情報の詳細を見る ▶


授業スケジュール

  • 次回開催

    2026年4月14日 20:00 〜 21:30

    第1回 ボンヘッファーの生涯と時代状況

    参加可能人数: 無制限
     
  • 2026年4月28日 20:00 〜 21:30

    第2回 ボンヘッファーの神学とヒトラー批判

     
  • 2026年5月12日 20:00 〜 21:30

    第3回 教会闘争と告白教会:ナチス・ドイツ期の抵抗運動

     
  • 2026年6月2日 20:00 〜 21:30

    第4回 ボンヘッファーのキリスト教倫理

     
  • 2026年6月16日 20:00 〜 21:30

    第5回 「罪の引き受け」:責任を負う生と反ナチ抵抗運動

     
  • 2026年6月30日 20:00 〜 21:30

    第6回 獄中書簡にみるボンヘッファーが目指していたもの

     

全体主義へいかに抗うか——反ナチ抵抗運動に身を投じた神学者ボンヘッファーの思想と生涯から学ぶ

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