アリストテレスの『デ・アニマ(魂について)』をギリシア語で読む——「想像力」の概念史に向けて
開講期間: 2026年4月5日 〜 2026年6月28日
毎週日曜日9:00〜9:45
難易度: 発展※ 難易度についてはこちらを参照ください。
内容紹介
見えないものを、見えるかのようにする力。
聞こえないものを、聞こえるかのようにする力。
触れることのできないものを、触れることができるかのようにする力。
つまりそれは、今ここに不在の何かを、ありありと感じられるかのようにする力です。
不可能であることが、想像力においては、あたかも可能であるかのようです。
とはいえ想像力は、無から何かを現実にもたらすわけではありません。
想像力は無力です。それは力なき力、力でない力です。
「〔…〕想像力、不可能なものの可能性、権能なき可能性、非‐本質であるという自らの本質を、自己‐触発する可能性」
([…] imagination, possibilité de l’impossible, possibilité sans pouvoir, possibilité auto-affectant son essence de non-essence)
(Jacques Derrida, Le toucher, Jean-Luc Nancy, Paris, Galilée, 2000, p. 124)。
想像力はしばしば、あるいはほとんどの場合、真実とは異なるものを描きます。
想像力は、認識とは異なり、真偽を気にかけることもありません。
想像力は矛盾を物ともしません。
しかしその自由奔放さゆえに、想像力は時に、私たちを未来へと開いてくれることもあります。
近代、とりわけカントにより、想像力(あるいは構想力 Einbildungskraft)の概念は、概念と直観を媒介するものとして位置づけられてきました。
考える対象としての概念は、想像力により、感じとられるもの、すなわち直観の対象であるかのように表象されます。
たとえば、花の概念に指で触れることはできませんが、想像力は、その概念に対し、あたかも触れることができるかのような形像を与えます。
逆に、感じられるものは、想像力により、それにあてはまる概念を模索する運動へと開かれます。
さて、このような媒介者としての想像力の概念の成り立ちを辿れば、中世にimaginatio(イマーギナーティオー)と呼ばれたものに辿り着きます。
そのimaginatioはさらに、古代ギリシアにおいてφαντασία(パンタシアー)と呼ばれていたもの(表象)から変遷を経つつ、形成されてきたものであることがわかります。
実際、プラトンは記しています。パンタシアー(表象)は、ディアノイア(思考)またはその結果としてのドクサ(判断)が、アイステーシス(感覚)と混ざりあうときに起こると。
それに対して、アリストテレスは反論を展開します。アリストテレスによれば、パンタシアー(表象)とは、活動状態にある感覚から引き起こされる運動(働き)であるとされます。
しかし同時に、アリストテレスは、プラトンのパンタシアー(表象)の概念を引き継ぎ、この概念に対して、より豊かな記述を与えてもいます。
本講座では、西洋の思想の源流の一つであるプラトン、アリストテレスにおけるパンタシアーの概念をめぐる記述を原典で読解することにより、後に「想像力」と呼ばれることになる概念の成立にいたるまでの一端を明らかにしてゆきます。
まずプラトン『ソピステス』の該当箇所[263δから]を読解した後で、アリストテレス『デ・アニマ(魂について)』を、第三巻第三章から読みます。
古典ギリシア語の知識がほとんどない方の参加も歓迎します。
(下記[受講前に最低限必要な知識]参照)
本講座では、講師が文章中のそれぞれの単語とそれに対応する英単語の表を、資料として共有しますので、辞書を引く時間がない方も、気軽にご参加いただけます。
原典のほか、英仏独語をはじめとする様々な訳書や訳者の解説も、必要に応じて参照し、解説します。
本講座では、以下のいずれかの参加方法を選ぶことができます。
a)能動的参加(資料をもとに予習をし、講座内で訳読を発表する)。この場合、古典ギリシア語の語彙力や読解力が確実に身につきます。
b)受動的参加(講師や他の受講者の訳読を聴講する)。この場合、古典ギリシア語の語学力はすぐには身につかないかもしれませんが、アリストテレスのパンタシアーをめぐる議論をじっくりと咀嚼することができます。
[注意事項]
※a)能動的参加を選択される場合、マイクが必要となりますので各自ご準備ください。
※本講座は語学講座となるため、b)受動的参加を選択される方も可能なかぎりリアルタイムでご参加ください。
※強制ではありませんが、授業中はなるべくカメラをオンにしてください。
★テキスト★
プラトンの『ソピステス』、アリストテレス『デ・アニマ』については、古い版であれば、オンラインで公開されているテキストがあります。プラトン『ソピステス』
John Burnetによる版(1903)
Σοφιστής - Βικιθήκη ※1
アリストテレス『デ・アニマ』
Immanuel Bekkerによる版(1837)とWilliam David Rossによる版(1956)(両者を比較可能)
https://scaife.perseus.org/library/urn:cts:greekLit:tlg0086.tlg002/
Adolf Torstrikによる版(1862)
https://archive.org/details/aristotelisdeani00aris_0/page/n52/mode/1up
Friedrich Adolf Trendelenburgによる版(1877)
https://archive.org/details/deanimalibritres00aris/mode/2up
Robert Drew Hicksによる版(1907)
https://archive.org/details/aristotledeanima005947mbp/page/108/mode/2up
Aurelius Försterによる版(1912)
https://archive.org/details/aristotelisdeani00aris/page/n5/mode/2up
Philippe Remacleによるサイト(希仏対訳版)
Aristote, Traité de l'Ame (bilingue)※2
Περὶ ψυχῆς/Γ - Βικιθήκη
その他の版、より新しい版などを書籍でお持ちの方は、そちらもお使いください。
本講座では、オンラインでの共有のしやすさという観点から、上の※1、※2を用います。
アリストテレス『デ・アニマ』については、
William David Rossによる版(1956) (OCT版)
Antonio JannoneとEdmond Barbotinによる版(1966)(Budé版)
と異なる箇所があれば、適宜お伝えします。
Budé版にもとづくPierre Thilletによる訳と訳註(2005)
OCT版にもとづくC.D.C. Reeveによる訳と訳註(2017)
Aurelius Försterによる版(1912)にもとづくKlaus Corciliusによる訳と訳註(2017)
などを参考に、必要に応じて補足説明をします。
1回の授業につき、上のテキスト(※2)で1~2段落に相当する分量を読むことを目安としますが、進行速度は受講者の方のレヴェルにより変わります。
◆◇古典ギリシア語初心者の方へ◇◆
[受講前に最低限必要な知識]1) 古典ギリシア語の文字(アルファベット)を覚えておいてください。
2) 形容詞・名詞・冠詞には、男性・中性・女性/単数・双数・複数があり、それぞれが格変化するということ(主格・属格・与格・対格・呼格)、動詞は一人称・二人称・三人称/単数・双数・複数で人称変化するほか、時制や態(能動態・中動態・受動態)によっても変化するということを知っておいてください。
3) 前置詞と名詞が結合する場合、名詞は前置詞に応じて格変化します。前置詞により要求される格が異なることを知っておいてください(どの前置詞がどの格を要求するかは文章を読めば自然に覚えますので、あらかじめ覚えておく必要はありません)。
[辞書]
本講座ではオンラインの希英辞典を用いますので、辞書がなくても手ぶらでご参加いただけます。ただし、英語が苦手な方は、ご自身で古典ギリシア語辞典(希和辞典)などを用意していただくとよいかもしれません。
※日本語訳のみでの参加をご希望の場合も考慮いたします。ご不明な点がありましたら、お問い合わせフォームよりお問い合わせください。
☆学割について☆
本講座では学生割引を実施します。学生の方は21,000円にてご受講いただけます。お申し込みと合わせて、以下のフォームから学生証等、学生であることの確認できる画像をアップロードしてください。画像の確認後、差額を返金いたします。
https://forms.gle/jSbwwJsnT1NsL9jP9
※受講者はアーカイブ(録画)の視聴が可能です。リアルタイムで授業に参加できない場合も見逃しなく受講できます。
※途中参加の場合も、全授業のアーカイブ動画をご覧いただけます。
※アーカイブ動画は、最低1年間視聴可能です。
◆受講の流れ◆
1. お申し込み↓
2. 開講&受講の決定
↓
3. リアルタイムで授業に参加/アーカイブを見る/クラスルームから資料にアクセス
◦リアルタイム授業への参加URLは、受講決定時に自動送信されるメールに記載されている他、クラスルーム(下記)、マイページ内「ダッシュボード」からもご確認いただけます。また、各授業日の2日または3日前にリマインダーメールをお送りいたします。
◦講師とのやりとりや資料の配付、講座に関する運営からのお知らせ等は、Google社が提供する学習管理アプリケーション「Googleクラスルーム」から行います。クラスルームにつきましては、受講決定時に別途招待メールが届きますので、そちらからご参加ください。
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◦アーカイブはマイページ内「受講状況」からご覧いただけるほか、本ページ下部の「授業スケジュール」およびクラスルームからもご覧いただけます。
◦ディセミネでの初回受講時に送られる招待メールを承認することで、Googleカレンダーと自動で同期が可能です。是非ともお使いください。

授業予定
講師の学務・学会活動等により休講となることがあります。休講となる際は、事前に連絡します。
今期の授業予定日は以下となります。
4月5日、12日、19日、26日
5月3日、10日、24日、31日
6月7日、14日、21日、28日
※ 授業の進捗等により予定が変更になる場合がございます。予めご了承ください。
こんな人におすすめ
古典ギリシア語の初歩を大学で学びかけたものの、挫折した方。
古典ギリシア語に興味はあるが、なかなか学ぶ時間がない方。
講師情報

授業スケジュール
次回開催
2026年4月5日 09:00 〜 09:45
第1回
参加可能人数: 1人2026年4月12日 09:00 〜 09:45
第2回
2026年4月19日 09:00 〜 09:45
第3回
2026年4月26日 09:00 〜 09:45
第4回
2026年5月3日 09:00 〜 09:45
第5回
2026年5月10日 09:00 〜 09:45
第6回
2026年5月24日 09:00 〜 09:45
第7回
2026年5月31日 09:00 〜 09:45
第8回
2026年6月7日 09:00 〜 09:45
第9回
2026年6月14日 09:00 〜 09:45
第10回
2026年6月21日 09:00 〜 09:45
第11回
2026年6月28日 09:00 〜 09:45
第12回
アリストテレスの『デ・アニマ(魂について)』をギリシア語で読む——「想像力」の概念史に向けて
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