ゼロから学ぶ現代日本哲学——1970年代から「今」へ

開講期間: 2025年9月20日 2025年12月13日

隔週土曜日19:00〜20:30

難易度: 入門〜中級※ 難易度についてはこちらを参照ください。

受講者募集中

募集期間2025年9月13日 20:30 まで

授業回数7 回

受講料13,720 円

現在の申込数6(最低開講人数: 3)


内容紹介

この講座では1970年代半ばから21世紀のテン年代までの日本哲学を学びます。すなわち廣松渉(1933-1994)や大森荘蔵(1921-1997)から始まり、池田晶子(1950-2007)や永井均(1951-)、野矢茂樹(1954-)、中島義道(1946-)を経由し、竹村和子(1954-2011)の『愛について』(2002年)と柄谷行人(1941-)の『世界史の構造』(2010年)に至る現代日本哲学の流れを追います。

では現代日本哲学史はどんな流れなのか? 

1970年代、廣松渉や大森荘蔵は〈歴史と向き合う〉という形で哲学を行なっていました。すなわち、廣松は資本主義という近代的な経済システムと、そして大森は《客観的なものは物体的なものだけであり、色や匂いなどは主観的な心的世界のうちにあるに過ぎない》という一種の近代科学的世界観と対決し、それぞれ〈近代の乗り越え〉という歴史実践を哲学の究極の課題としていました。とはいえ1980年代から1990年代にかけて日本哲学はこうした〈歴史への関心〉から自らを切り離します。そして、「純粋思考」と呼ばれうる自由な思索の領域において、新時代の歩みを始めました。具体的には池田晶子や永井均などがこうした流れの中で「存在」や「私」をめぐって切り詰められた考えを提示しました。

このように現代日本哲学はいったん〈歴史への関心〉から離脱します。とはいえこれは決して哲学の非歴史化を意味せず、むしろ新たな仕方で歴史と向き合うことの始まりでした。じっさい、1980年代から1990年代にかけていったん〈歴史への関心〉を離れた日本哲学は、20世紀終りごろの積極的な理論構築の時代を経て、21世紀のゼロ年代において〈新たな理論にもとづく、歴史との新たな闘い〉を開始するからです。かくして現代日本哲学史は、言ってみれば、「行って帰って」の曲線を描きます。それはすなわち、歴史への関心からいったん離れるも、ふたたびそこへ還帰するカーブです。

ところで、この流れを知って何が得られるのか? 答えのひとつは〈自己理解の深まり〉です。じつに、ごく最近のトピックへ至る日本哲学の軌跡を追うことによって、《私たちはいま何に巻き込まれているか》が確認されます。そしてそれによって私たちの哲学のこれからの課題も明らかになります。要するに、私たちが取り組んでいる哲学の「来し方」を見ることで、その「行く末」を照らすような理念が得られる、ということです。本講座を通じて、私たちが巻き込まれている「近代哲学」のあり方(これは前段落の記述が示唆するように、「純粋思考」・「理論」・「歴史的対決」という三つの鍵概念で分析されます)が把握されます。今回は、こうした把握へ向けた、第一歩たる「入門的」講座を行ないたいと思います。

この講座の講師である私(山口)は2023年12月から2025年5月にかけて雑誌『現代思想』(青土社)で連載「現代日本哲学史試論」を世に問うてきましたが、本講座ではその内容の骨格を抜き出しそれを新たな角度から説明していきます。ただし予備知識(例えばその連載を読んでいること)は必要なく、理解のために必要なことはすべて講座のうちで説明されます。したがって本講座は現代日本哲学史をゼロから学ぶひとにとっても有用な入門コースになっています。私の連載を読んでさらに話が聞きたくなったひとも大歓迎ですし、前提知識なしに飛び込んで来られるかたもウェルカムです。

具体的に取り上げる作品は以下です。講師(山口)がそれぞれレジュメをつくってきますので、あらかじめ読んできていただく必要はありません。

廣松渉『世界の共同主観的存在構造』1972年
大森荘蔵『新視覚新論』1982年
永井均『〈私〉のメタフィジックス』1986年
野矢茂樹『哲学・航海日誌』1999年
竹村和子『愛について』2002年
中島義道『時間論』2002年
池田晶子『14歳からの哲学』2003年
柄谷行人『世界史の構造』2010年

これらを軸として、時間があれば、他の作品あるいは他の著者の本へ言及したいと思います。全体として現代日本哲学の歩みが描き出すひとつの一貫したストーリーをつかむことができるはずです。そのうえで《私たちはこれから何をどう考えていけばいいのか》にかんする指針のような何かが得られるでしょう。

各回内容


第1回 全体の流れの確認する、そして廣松渉『世界の共同主観的存在構造』を読む
はじめに《そもそも哲学とは何か》や《哲学史をどう捉えるか》を論じ、本講座全体の方向性を確認する。そのうえで廣松の作品を読み解き、彼の〈四肢的構造聯関〉の概念を掴む。

第2回 大森荘蔵『新視覚新論』を読む
大森の作品を読み解き、彼の〈立ち現われ一元論〉の形而上学を押さえる。

第3回 池田晶子『14歳からの哲学』と永井均『〈私〉のメタフィジックス』を読む 
第一に《現代日本哲学において池田の行なった貢献は何か》を明らかにする。第二に永井均の〈私〉をめぐる問題を見る。

第4回 中島義道『時間論』を読む
中島の〈過去中心主義〉の立場を理解する。

第5回 野矢茂樹『哲学・航海日誌』を読む
野矢の〈根元的規約主義〉の眼目を捉える。

第6回 竹村和子『愛について』を読む
竹村の〈愛の理論〉および〈アイデンティティ中断の倫理〉を押さえる。

第7回 柄谷行人『世界史の構造』を読む
柄谷の交換様式史をその全体的な意図において理解する。

※受講者はアーカイブ(録画)の視聴が可能です。リアルタイムで授業に参加できない場合も見逃しなく受講できます。
※途中参加の場合も、全授業のアーカイブ動画をご覧いただけます。
※アーカイブ動画は、講座の受付終了から1年間視聴可能です。


◆受講の流れ◆

1. お申し込み

2. 開講&受講の決定

3. リアルタイムで授業に参加/アーカイブを見る/クラスルームから資料にアクセス

◦リアルタイム授業への参加URLは、受講決定時に自動送信されるメールに記載されている他、クラスルーム(下記)、マイページ内「ダッシュボード」からもご確認いただけます。また、各授業日の2日または3日前にリマインダーメールをお送りいたします。

◦講師とのやりとりや資料の配付、講座に関する運営からのお知らせ等は、Google社が提供する学習管理アプリケーション「Googleクラスルーム」から行います。クラスルームにつきましては、受講決定時に別途招待メールが届きますので、そちらからご参加ください。

◦クラスルームの使い方についてはこちらをご覧ください。

◦アーカイブはマイページ内「受講状況」からご覧いただけるほか、本ページ下部の「授業スケジュール」およびクラスルームからもご覧いただけます。

◦ディセミネでの初回受講時に送られる招待メールを承認することで、Googleカレンダーと自動で同期が可能です。是非ともお使いください。

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授業予定

第1回 2025年9月20日(土)19:00~20:30


イントロダクション&廣松渉『世界の共同主観的存在構造』を読む


第2回 2025年10月4日(土)19:00~20:30


大森荘蔵『新視覚新論』を読む


第3回 2025年10月18日(土)19:00~20:30


池田晶子『14歳からの哲学』と永井均『〈私〉のメタフィジックス』を読む


第4回 2025年11月1日(土)19:00~20:30


中島義道『時間論』を読む


第5回 2025年11月15日(土)19:00~20:30


野矢茂樹『哲学・航海日誌』を読む


第6回 2025年11月29日(土)19:00~20:30


竹村和子『愛について』を読む


第7回 2025年12月13日(土)19:00~20:30


柄谷行人『世界史の構造』を読む

※ 授業の進捗等により予定が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

こんな人におすすめ

哲学に興味のある方
現代の日本の哲学に関心のある方
日本の思想家に興味のある方
取り上げられている哲学者に関心のある方

講師情報

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山口尚

哲学——特に形而上学、心の哲学、宗教哲学、自由意志について

講師情報の詳細を見る ▶


授業スケジュール

  • 次回開催

    2025年9月20日 19:00 〜 20:30

    第1回 イントロダクション&廣松渉『世界の共同主観的存在構造』を読む

    参加可能人数: 無制限
     
  • 2025年10月4日 19:00 〜 20:30

    第2回 大森荘蔵『新視覚新論』を読む

     
  • 2025年10月18日 19:00 〜 20:30

    第3回 池田晶子『14歳からの哲学』と永井均『〈私〉のメタフィジックス』を読む

     
  • 2025年11月1日 19:00 〜 20:30

    第4回 中島義道『時間論』を読む

     
  • 2025年11月15日 19:00 〜 20:30

    第5回 野矢茂樹『哲学・航海日誌』を読む

     
  • 2025年11月29日 19:00 〜 20:30

    第6回 竹村和子『愛について』を読む

     
  • 2025年12月13日 19:00 〜 20:30

    第7回 柄谷行人『世界史の構造』を読む

     

ゼロから学ぶ現代日本哲学——1970年代から「今」へ

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