入門!動物倫理学——他の命とともに生きる人のための哲学入門

開講期間: 2025年5月29日 2025年10月16日

3週に1回、木曜日20:00-21:30(一部例外あり/8月休講)

難易度: 入門※ 難易度についてはこちらを参照ください。

受講者募集中

募集期間2025年5月22日 21:30 まで

授業回数7 回

受講料13,720 円

現在の申込数5(最低開講人数: 5)


内容紹介

動物たちは、私たちの日常のあらゆる場所にいます。

リードをつけて公園を歩く犬。
スーパーの棚に並ぶ豚肉や鶏肉。
山や町でクマと遭遇するニュース。
ガラス越しにじっとこちらを見つめる動物園のゴリラ。

私たちは、こうした動物たちと毎日関わりながら暮らしています。けれどもその関わり方は、場面や文脈によって大きく異なります。ある動物には「家族」としての愛情を注ぎ、ある動物は「食べもの」や「実験材料」として扱われ、またある動物は「自然の象徴」や「教育資源」として保護されたり、囲われたりしています。

では、こうしたさまざまな関係の中で、動物をどのように扱うことが〈よいこと〉だと言えるのでしょうか?動物は殺してもよくて、人間を殺してはいけないのはなぜでしょうか?そもそも、人間と動物はどう違うのでしょうか?動物と人間との〈よい関係〉とは、どのようなものなのでしょうか?愛情を注ぐこと、傷つけないこと、役立てること、自由にさせること―動物との関わり方はどれが正しく、どれが誤っているのか。それとも、正しさは状況によって変わるものなのでしょうか。

こうした問いは、いま、私たちの社会でも改めて強く問われるようになってきています。というのも、気候変動で絶滅の危機にある動物たちや媒介動物による感染症リスク、畜産による環境負荷、動物福祉に対する国際的な関心の高まりなどを背景に、人間と動物の関係を問い直すことが政治や経済、地球規模の課題と深く結びついてきているからです。動物があまりに人間社会と緊密な関係にある現代では、これらの問いはもはや避けては通れなくなっているのです

こうした問いに正面から向き合おうとするのが、動物倫理学という分野です。動物倫理学は、単に「かわいそう」や「やさしくしたい」といった感情だけではなく、私たちが動物とどのような関係を結ぶべきかを、倫理学の視点から深く考えるための知的な枠組みです。

そしてこの倫理的な問いは、社会の制度や文化的価値観とも深く結びついています。たとえば日本の法律では、犬や猫も基本的には民法上の「物(財産)」として扱われています。動物の保護を目的とした「動物愛護管理法」は存在するものの、それは人間中心の法体系の中で〈モノに対する配慮〉という位置づけにとどまっています。つまり、私たちが「この子は家族の一員だ」と感じていても、制度上では人間の家族とはまったく別の存在としてしか扱われない―この感覚と現実のギャップこそが、動物倫理の出発点となり得るのです。

この講座では、こうした違和感や問いを出発点に功利主義や義務論といった主要な倫理理論を手がかりとしながら、ペット、畜産動物、野生動物、動物園・水族館、そして日本社会における動物観や政策といった具体的なテーマを通じて、動物と人間のより良い関係とは何かを丁寧に考えていきます。

前半では、「動物解放論」や「権利論」といった伝統的な動物倫理の基本理論をしっかりと学び、それぞれが動物に対する責任や配慮をどのように位置づけているのかを比較・検討します。後半では、身近な事例――たとえばペットとの暮らしや、食としての家畜、展示される動物たち、さらには日本における政策や文化的価値観――に目を向け、理論と現実を往復しながら、倫理的に考えるための足場を築いていきます。

動物倫理は、決して抽象的な思索にとどまるものではありません。それは、私たちが社会の中でどのように生きるのか、他の命とどう関わるのかという、実践的かつ根本的な問いに関わる営みです。この講座は、人間以外の動物とともに生きるすべての人のための、哲学への入り口として設計されています。動物に関心がある人も、なんとなく引っかかるものを感じてきた人も、そして、「そもそも〈道徳的である〉とは何か?」を考えてみたいすべての人に、開かれた場でありたいと願っています。

※受講者はアーカイブ(録画)の視聴が可能です。リアルタイムで授業に参加できない場合も見逃しなく受講できます。
※途中参加の場合も、全授業のアーカイブ動画をご覧いただけます。
※アーカイブの視聴可能期間は、講座終了から1年間です。


◆受講の流れ◆

1. お申し込み

2. 開講&受講の決定

3. リアルタイムで授業に参加/アーカイブを見る/クラスルームから資料にアクセス

◦リアルタイム授業への参加URLは、受講決定時に自動送信されるメールに記載されている他、マイページ内「ダッシュボード」からもご確認いただけます。

◦講師とのやりとりや資料の配付はGoogle社が提供する学習管理アプリケーション「Googleクラスルーム」から行います。クラスルームにつきましては、受講決定時に別途招待メールが届きますので、そちらからご参加ください。

◦アーカイブはマイページ内「受講状況」からご覧いただけるほか、本ページ下部の「授業スケジュール」およびクラスルームからもご覧いただけます。

◦ディセミネでの初回受講時に送られる招待メールを承認することで、Googleカレンダーと自動で同期が可能です。是非ともお使いください。

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授業予定

第1回 2025年5月29日(木)20:00〜21:30

動物倫理学とは何か——倫理って、人間だけのもの?


第2回 2025年6月19日(木)20:00〜21:30

動物は解放するべきなのか?——功利主義の議論から


第3回 2025年7月10日(木)20:00〜21:30

動物に権利はあるのか?——義務論の議論から


第4回 2025年7月24日(木)20:00〜21:30

家畜動物を哲学する——生産されるいのち、食べることの倫理


第5回 2025年9月4日(木)20:00〜21:30

野生動物と動物園・水族館の動物を哲学する——自然と展示のあいだで


第6回 2025年9月25日(木)20:00〜21:30

コンパニオンアニマルを哲学する——ペットとどう向き合うか?日本の動物政策と動物観


第7回 2025年10月16日(木)20:00〜21:30

動物と共に生きるために——これからの動物倫理と社会


※日程の一部が変則的になっておりますのでご注意ください。

※ 授業の進捗等により予定が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

こんな人におすすめ

倫理学に興味がある人
動物倫理学に興味がある人
人間以外の動物たちに関心がある人
哲学を実生活に活かしたい人

講師情報

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中村涼

カント倫理学 環境倫理学 動物倫理学

講師情報の詳細を見る ▶


授業スケジュール

  • 次回開催

    2025年5月29日 20:00 〜 21:30

    第1回 動物倫理学とは何か——倫理って、人間だけのもの?

    参加可能人数: 無制限
     
  • 2025年6月19日 20:00 〜 21:30

    第2回 動物は解放するべきなのか?-功利主義の議論から

     
  • 2025年7月10日 20:00 〜 21:30

    第3回 動物に権利はあるのか?——義務論の議論から

     
  • 2025年7月24日 20:00 〜 21:30

    第4回 家畜動物を哲学する——生産されるいのち、食べることの倫理

     
  • 2025年9月4日 20:00 〜 21:30

    第5回 野生動物と動物園・水族館の動物を哲学する——自然と展示のあいだで

     
  • 2025年9月25日 20:00 〜 21:30

    第6回 コンパニオンアニマルを哲学する——ペットとどう向き合うか?日本の動物政策と動物観

     
  • 2025年10月16日 20:00 〜 21:30

    第7回 動物と共に生きるために——これからの動物倫理と社会

     

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