仏像の「かたち」はいかに育まれたか——仏教美術史入門日本編1

開講期間: 2024年10月24日 2025年01月09日

隔週木曜日19:00〜20:30

入門★☆☆

講義の開催が決定しました

講義回数6 回

受講料11,760 円

受講者数8(最低開講人数: 3)


内容紹介

日本にいる私たちの周りには、素晴らしい仏像が数々残っています。静かな佇まいや表情、優美な仕草に安らぎを覚える方も多いでしょう。

古くは7世紀まで遡れるような古代の礼拝像を、当初制作された寺院でそのまま拝むことができるのは、世界的に見ても稀有なことです。インドで生まれ、中国や朝鮮半島を介して日本へ伝わった仏像のかたちは、それぞれの地域で醸成された歴史や人々の願いの結晶、異文化交流の証であり、そのルーツは驚くほど遠い地域や時代まで遡ることができます。

しかし、仏像のかたちには一定のルールや歴史背景があり、目前の像にこめられた意味や悠久の歴史を紐解き、「美しい」という感想以上の理解や感動を得るにはこれらを知る必要があります。

この講座ではまず、仏教美術の中に含まれる様々な仏、菩薩、神々の尊像の分類やヒエラルキー、成り立ち、形のルール、そして宗派ごとに特有な礼拝対象について学びます。その上で、日本の代表的な仏像を時代順、寺院ごとに取り上げ、像をスライドでじっくり鑑賞しながら、それぞれの制作背景やかたちの意味について学びます。その過程を通して個々の像のかたちを読み解きます。そして最終的には、ご自身で寺院やミュージアムを訪れて実物を目にした際に、目前の仏像の素材や時代、組み合わせの意味などを意識しながら、自発的に学べるようになることを目指します。

日本の仏像は数千年にわたる人々の交流と互いに対する好奇心の証でもあります。国をまたいだ人々の移動がさかんになり、様々な国々の人々との交流の機会も増えた今、日本の仏像について知ることは、アジア諸国への理解とその国々との絆を深めるきっかけともなるでしょう。

今回の講座で主に取り上げる飛鳥時代の日本の仏像のかたちは、大陸(中国、朝鮮半島)で起きる変化と面白いほど連動して変わってゆきます。しかし、中国と朝鮮半島の両方から影響を摂取するゆえに、かたちの伝播にあたって日本に独特のタイムラグや大陸における新旧両様式の混交が起きることがあります。日本国内だけではなく中国や韓国の仏像も紹介し、日本の仏像と比較をしながら「なぜこのかたちなのか」を考えてゆきます。

古代の仏教美術史というと変化の生じにくい分野のように思われるかもしれませんが、調査技術の進展や発掘結果などにより仏像や建築の年代観は刻々と変わりますし、それに応じて歴史の解釈も変わってゆきます。この講座ではそうした最新の成果を参照しつつ、日本と大陸との関わりを重視しながら見慣れた仏像を新しい視点から見られるように追ってゆきます。

その結果、例えばご旅行などでたびたび目にしてきた有名な像もまた、背景を知ってから目の当たりにすると新鮮な感動と驚きを持って見られるようになるはずです。

各回内容

授業は次の順序で進めます。まず、第1、2回「仏像の種類とかたち1、2」では像の種類やヒエラルキー、宗派別の礼拝対象、およびこれらが時代を追ってどのように増広していったかを学び、この講座を進めて行くにあたって必要となる基礎知識を身につけます。

第3回以降の授業では、日本の仏教美術を時代順に解説してゆきます。基本的には毎回の授業で代表的な寺院を1つ取り上げ、寺院の成り立ちや造像の背景にも踏み込みながら学びます。

第3、4回では主に法隆寺に残る飛鳥時代の仏像を取り上げます。中でも同寺の本尊釈迦三尊像などに見られる「止利とり様式」は飛鳥時代を代表する様式です。ここでは、その起源を中国の南北時代や朝鮮半島三国時代の仏像まで遡り、これらが日本へどのように伝わったかを、具体的にたどってゆきます。

第5回「中宮寺の美術」では片手を頬にあて、片足を踏み下げる半跏思惟はんかしいの美しいポーズで人々を魅了する同寺の弥勒菩薩みろくぼさつ像を取り上げます。この像が有名なことから日本では弥勒菩薩像というと半跏思惟のイメージが定着していますが実は、世界的に見ればと弥勒菩薩=半跏思惟というのは少数派です。その理由を紐解くために、弥勒菩薩像の起源であるガンダーラまで遡りながら時代、地域を経て形の変化を追ってゆきます。

第6回「薬師寺の美術」では、奈良時代の初頭の代表作、薬師寺の薬師三尊像を中心に扱い、日本における中国の初唐様式や文化の受容について学びます。このように、日本の仏教美術について、ルーツを大陸へたどりながら、大陸からの影響と日本の風土、歴史の中で醸成された独自性の両方について学んでゆきます。

また、今回の講座では奈良時代初期までの仏像を扱いますが、今後日本編の2、3では引き続き鎌倉時代までの展開を追ってゆく予定です。

※受講者はアーカイブ(録画)の視聴が可能です。リアルタイムで授業に参加できない場合も見逃しなく受講できます。
※途中参加の場合も、全授業のアーカイブ動画をご覧いただけます。
※アーカイブの視聴可能期間は、講座終了から1年間です。


◆受講の流れ◆

1. お申し込み

2. 開講&受講の決定

3. リアルタイムで授業に参加/アーカイブを見る/クラスルームから資料にアクセス

◦リアルタイム授業への参加URLは、受講決定時に自動送信されるメールに記載されている他、マイページ内「ダッシュボード」からもご確認いただけます。

◦講師とのやりとりや資料の配付はGoogle社が提供する学習管理アプリケーション「Googleクラスルーム」から行います。クラスルームにつきましては、受講決定時に別途招待メールが届きますので、そちらからご参加ください。

◦アーカイブはマイページ内「受講状況」からご覧いただけるほか、本ページ下部の「授業スケジュール」およびクラスルームからもご覧いただけます。

◦ディセミネでの初回受講時に送られる招待メールを承認することで、Googleカレンダーと自動で同期が可能です。是非ともお使いください。

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授業予定

第1回 2024年10月24日(木)19:00〜20:30

仏像の種類とかたち1


第2回 2024年11月7日(木)19:00〜20:30

仏像の種類とかたち2


第3回 2024年11月21日(木)19:00〜20:30

法隆寺の美術1——止利様式の仏像とその起源


第4回 2024年12月5日(木)19:00〜20:30

法隆寺の美術2——金堂四天王像、薬師如来像、夢殿救世観音像、百済観音像など


第5回 2024年12月19日(木)19:00〜20:30

中宮寺の美術——弥勒菩薩像とその起源


第6回 2025年1月9日(木)19:00〜20:30

薬師寺の美術——奈良時代初期の仏像と初唐様式の受容

※ 授業の進捗等により予定が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

こんな人におすすめ

寺院やミュージアムを訪れて仏像を鑑賞するのがお好きな方
仏像は好きだけれども見方がいまいち分からないという方
日本とアジアの歴史に興味があり、文化遺産の「かたち」を通して理解を深めたいという方

講師情報

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羅翠恂

アジアおよび日本の仏教美術

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授業スケジュール

  • 次回開催

    2024年10月24日 19:00 〜 20:30

    第1回 仏像の種類とかたち1

    参加可能人数: 無制限
     
  • 2024年11月07日 19:00 〜 20:30

    第2回 仏像の種類とかたち2

     
  • 2024年11月21日 19:00 〜 20:30

    第3回 法隆寺の美術1——止利様式の仏像とその起源

     
  • 2024年12月05日 19:00 〜 20:30

    第4回 法隆寺の美術2——金堂四天王像、薬師如来像、夢殿救世観音像、百済観音像など

     
  • 2024年12月19日 19:00 〜 20:30

    第5回 中宮寺の美術——弥勒菩薩像とその起源

     
  • 2025年01月09日 19:00 〜 20:30

    第6回 薬師寺の美術——奈良時代初期の仏像と初唐様式の受容

     

仏像の「かたち」はいかに育まれたか——仏教美術史入門日本編1

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