美からはじめる哲学入門—— 感性の「本質」を探る

開講期間: 2024年07月05日2024年10月04日

隔週金曜日20:00〜21:30

入門★☆☆

講義の開催が決定しました

講義回数7 回

受講料13,720 円

受講者数32(最低開講人数: 3)


内容紹介

美しさとか感性ってひとそれぞれですよね。――美学の授業をやっていると、ほぼかならず、学生たちがこんなふうに言ってくれます。

たしかにそうなんです。わたしたちが美しいと感じるものはひとそれぞれです。あるひとが美しいと感じたものを、べつのひとは美しいと感じないことがありますし、あるひとがある瞬間に美しいと感じたものを、べつの瞬間には美しいと感じないことさえあります。だから、美しさを学問的に研究することなんてできないように思われますよね。

しかし、こんなふうに考えてみるのはどうでしょうか?たとえば、上京したてのAさんが「都会の風景は美しいな」と思っている。それに対し、都会が大嫌いなBさんは、「やっぱり自然の風景が美しいな」と思っている。

たしかに、AさんとBさんそれぞれにとって「美しいもの」はちがいます。しかしながら、じつは、Aさんに都会を、Bさんに自然を美しいと思わせているもの、あるいは、ふたりがそれらを美しいと感じるその感じ方には、なにか共通のものがあるのではないでしょうか? 

近代までの西洋美学は美的経験をまさにそのように捉えてきました。つまり、美しさや感性がひとそれぞれであるとしても、なにかを美しいと感じたり楽しんだりする経験のなかにはなんらかの共通の本質があるのではないかと美学者たちは考えてきたのです。べつの言い方をすると、「なにが美しいか?」ではなく「美しさとはなにか?」と問うのであり、「ひとつひとつの美しいもの」ではなく、そうした美しいものに共通する「美しさの本質」を問うのです。

わたしたちは今、「ひとそれぞれ」が当たり前である一方で、他者に共感することが強く求められる時代に生きています。そのため、たとえ他者が感じているのとまったく同じように「感じる」ことはむずかしいとしても、他者の感性を「理解する」ことは、わたしたちが共に生きていくことにとって不可欠だと言うことができるでしょう。

今回の講座の内容としては、おもにソクラテス゠プラトン、カント、そして現象学的美学を取り上げます(「ソクラテス゠プラトン」という奇妙な書き方をしているのは、ソクラテス自身が本を書いていないからです)。

ソクラテス゠プラトンもカントも、哲学と美学の両方において最重要の人物ですが、入門者が自力でかれらの思想を理解するのはとてもむずかしいことです。ざっくり言うとすれば、ソクラテス゠プラトンは「美しいものを美しくさせているものはなにか」、カントは「わたしたちがなにかを美しいと感じるその感じ方はどういうものか」と考えています。

また、現象学的美学については、 その代表的な人物であるモーリッツ・ガイガーを取り上げます。現象学的美学とは、現象学という方法を美学に応用したものであり、いわば一人称的な立場から、美やその経験について考えることを得意としています。この講座では、ソクラテス゠プラトンやカントが突き当たった問いにたいして、ガイガーがこの現象学的美学という立場から、どのような答えを提示したのか、ということに注目します。

ただし、かれらが言っていることのすべてが絶対に正しいというわけではありませんので、かれらの思想を批判的に吟味しながら、そのエッセンスを吸収していくことにしましょう。

具体的な著作としては、おもにプラトンの『ヒッピアス(大):美について』とカントの『判断力批判』、そしてガイガーの「美的享受の現象学への寄与」と『美学への通路』(前者には邦訳がなく、後者には戦前の古い邦訳しかありません)を取り上げます。

購入する必要も、読んでおく必要もありません。予備知識や語学も必要ありません。気軽に受講してください。ご自身でも読んでみたいひとのために、プラトンとカントの著作についてのみ、手に取りやすい翻訳書と講師が使用しているものを紹介しておきます。

この講座は、美学入門であると同時に哲学入門でもあります。美という謎をたずさえて、哲学の門を叩いてみてはいかがでしょう。

※手に取りやすい翻訳書

・プラトン『大ヒッピアス:美について』藤田大雪訳、叢書ムーセイオン刊行会、2013年。(Kindle版のみ)

・カント『判断力批判(上)』中山元訳、光文社、2023年(下巻の内容はあつかいません)。


※講師が使用している翻訳書

・プラトン『プラトン全集10:ヒッピアス(大)ほか』北嶋美雪ほか訳、岩波書店、1975年。

・カント『カント全集8:判断力批判 上』牧野英二訳、岩波書店、1999年。


※受講者はアーカイブ(録画)の視聴が可能です。一部の回に参加のご都合がつかない場合も、見逃しなく受講できます。
※途中参加の場合も、全授業のアーカイブ動画をご覧いただけます。
※アーカイブの視聴可能期間は、講座終了から1年間です。


◆受講の流れ◆

1. お申し込み

2. 開講&受講の決定

3. リアルタイムで授業に参加/アーカイブを見る/クラスルームから資料にアクセス

◦リアルタイム授業への参加URLは、受講決定時に自動送信されるメールに記載されている他、マイページ内「ダッシュボード」からもご確認いただけます。

◦講師とのやりとりや資料の配付はGoogle社が提供する学習管理アプリケーション「Googleクラスルーム」から行います。クラスルームにつきましては、受講決定時に別途招待メールが届きますので、そちらからご参加ください。

◦アーカイブはマイページ内「受講状況」からご覧いただけるほか、本ページ下部の「授業スケジュール」およびクラスルームからもご覧いただけます。

◦ディセミネでの初回受講時に送られる招待メールを承認することで、Googleカレンダーと自動で同期が可能です。是非ともお使いください。

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授業予定

第1回 7月5日(金)20:00〜21:30

美は「美しい乙女」?:ソクラテス゠プラトン(1)


第2回 7月19日(金)20:00〜21:30

美しいものを美しくさせているもの:ソクラテス゠プラトン(2)


第3回 8月2日(金)20:00〜21:30

美学(aesthetica)の成立


第4回 8月23日(金)20:00〜21:30

美の無関心性:カント(1)


第5回 9月6日(金)20:00〜21:30

美の目的なき合目的性:カント(2)


第6回 9月20日(金)20:00〜21:30

美を楽しむとはどういうことか:ガイガー(1)


第7回 10月4日(金)20:00〜21:30

美と感情:ガイガー(2)

※ 授業の進捗等により予定が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

こんな人におすすめ

美や芸術、感性について考えてみたい人
哲学や美学に興味がある人
哲学や美学の基礎を学びたい人

講師情報

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峯尾幸之介

哲学・美学——特にミュンヘン現象学派のモーリッツ・ガイガーを中心とする現象学と現象学的美学

講師情報の詳細を見る ▶


授業スケジュール

  • 2024年07月05日 20:00 〜 21:30

    第1回 美は「美しい乙女」?:ソクラテス゠プラトン(1)

    参加可能人数: 無制限
     
  • 2024年07月19日 20:00 〜 21:30

    第2回 美しいものを美しくさせているもの:ソクラテス゠プラトン(2)

    参加可能人数: 無制限
     
  • 次回開催

    2024年08月02日 20:00 〜 21:30

    第3回 美学(aesthetica)の成立

    参加可能人数: 無制限
     
  • 2024年08月23日 20:00 〜 21:30

    第4回 美の無関心性:カント(1)

     
  • 2024年09月06日 20:00 〜 21:30

    第5回 美の目的なき合目的性:カント(2)

     
  • 2024年09月20日 20:00 〜 21:30

    第6回 美を楽しむとはどういうことか:ガイガー(1)

     
  • 2024年10月04日 20:00 〜 21:30

    第7回 美と感情:ガイガー(2)

     

美からはじめる哲学入門—— 感性の「本質」を探る

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