デカルト哲学の核心へ迫る——主著『省察』の読解から学ぶ〈懐疑〉の現代性
開講期間: 2026年11月21日 〜 2027年2月6日
隔週土曜日19:00〜20:30
難易度: 入門〜中級※ 難易度についてはこちらを参照ください。
受講者募集中
※ 事前募集期間中にお申し込み数が最低開講人数に達しなかった場合は不開講となります。
内容紹介
だがなぜデカルトなのか。そしてどうして『省察』なのか。
その理由は、端的に言えば、デカルトが『省察』で展開する議論は、いまなお私たちの哲学に意義ある問題系を与えてくれる参照枠であり続けているからです。
より簡単に言えば、現代の私たちにとっても、デカルトの『省察』は哲学的思索の「火種」を多く運んでいる、ということ。したがってこの講座は、哲学史の古典を読み返すものでありながら、参加者がこれから自分で哲学を行なっていくための出発点としても役立つものです。
では『省察』からどんな思索の端緒が得られるのでしょうか。
それは講座でじっさい体験されるように複数ありますが、敢えてひとつだけピック・アップすれば、〈考えること〉をめぐる根本的問題です。あるいは別言すれば、合理性をめぐる問題です。
哲学が〈合理的に思考することで真理に到達しようとする営み〉であるならば、「合理/不合理」や「きちんと考えていること/ただ混乱していること」を区別することは哲学にとって不可避の課題になります。そしてデカルトはまさにこの問題に取り組んだのであって、彼の議論から私たちはこの問題の「勘どころ」を学ぶことができます。それゆえ『省察』を読むことは、「哲学って、こんなふうにするんだ!」という気づきの格好の入り口でもあります。
ただしそれだけではありません。『省察』はまさにいまアクチュアルです。
近年、例えば哲学者・古田徹也の『懐疑論』(中央公論新書、2026年)の出版が象徴するように、「懐疑論(scepticism)」の問題が注目を集めています。
インターネットが真偽不明の情報であふれ、AIで生成されたかもしれない画像や動画が流布する現在において、〈物事を適切に疑ってそれでもって偽の言説を退けること〉は、哲学界の内外を問わず大事な営みになっています。そして同時に〈不合理な疑いにもとづいて陰謀論に飛びつくこと〉も回避せねばなりません。かくして「疑い」をめぐる問題は、現代の情報氾濫社会において、きわめて現実的な問題だと言えます。
懐疑をめぐるこうした問題は『省察』においても繰り返し焦点化されます。この点で『省察』を読むことは、決して過去の骨董品的関心を呼び覚ますことではなく、むしろ現在の喫緊の問題に取り組むための手引きを得ることにも繋がります。
加えてそれは現代哲学で盛り上がっている話題、とりわけ「超越論的転回」というトピックへも結びつきます。じつに〈懐疑論 vs 超越論的論証〉という戦いは近年さまざまな形で注目されている哲学的主題ですが、この動向に鑑みると例えば次のように言えます。すなわち、デカルトの議論を追うことは、ガードナーとグリスト編集の『超越論的転回』(中村拓也他訳、法政大学出版会、2026年)で侃々諤々に論じられていることを理解するための役立つ一歩になる、と。
こういう仕方で『省察』は、実践的にも理論的にも、まさにいまアクチュアルだと言えます。
具体的には同書を読むことで例えば以下の事柄の理解を深めることができます。
・「知っている/ただ思い込んでいる」の違いは何か。
・感覚はどんなレベルで信頼ができ、どんなレベルで信頼できないか。
・そもそも物事を考えるために満たされていなければならない条件は何か。
・いま夢を見ている可能性は否定できるか。
・数学の真理を「本当は間違っているのではないか」と疑うことはできるか。
・「私」とは何か。
・《物体がじつは感覚ではなく知性によって知られる》ということの意味は何か。
・「無限」とは何か。神とは何か。
授業の進め方は、受講者にテキストをご用意いただいたうえで、まずは講師が読み方をレクチャーします。そして、一定部分の説明が終えた時点で、受講者の方々からご質問やご意見をいただき、そのうえで互いに議論などをしていきます。おそらく標準的な講読の仕方に従うものですが、相互に配慮し合いながら活気のある討議が行なえればと期待しています。もちろん聴講のみでの参加も歓迎いたします。
『省察』の原文はラテン語ですが、講座は日本語をベースとします。他方で折にふれ原語にかんする説明も行ないます。そのさい、ラテン語の予備知識は不要ですが、《この機会にラテン語の雰囲気を掴むぞ!》といった心構えで受講していただければ幸いです。
授業予定はおおむね次の通りですが、受講者の要望を聞きながら、場合によってはもっとゆっくり進めていくこともありえます。
各回内容
第1回 第一省察前半 新たな仕方の哲学が開始される「第一省察」の前半を読み解いていきますが、そこでは《知識とは何か》が反省されます。はたして知識の条件は何か?第2回 第一省察後半 しだいに懐疑の度合いが高まり、これまで「知識」と見なされていたものが次々に否定されていきます。だがいったいここで何が行なわれているのか? こうした懐疑の歩みを合理的にしているものは何か?
第3回 第二省察前半 有名な「コギト」に至ります。だがここでの「私」は何か? そもそもコギトという真理=知識をどう理解すべきか?
第4回 第二省察後半 精神と物体が区別されるとき、物体のほうはどのように理解されるのか? デカルトは《物体がじつは感覚ではなく知性によって知られる》と指摘するが、いったいこの文言の意味合いは何か?
第5回 第三省察前半 《私は存在するが、それ以外の一切は疑わしい》、この一種の独我論的境地は抜け出されねばならない。だが私はいかにして私を抜け出しうるか? ここには「有限/無限」の区別がかかわってくる。とはいえそれはどういうことか?
第6回 第三省察後半 神の存在を示すことで独我論的境地からの脱出の第一歩が実現される。しかしながらこれはいかなる一歩か? 〈観念の形相的実在性/表象的実在性〉に訴えるデカルトの議論は、現代的な視点ではいかに理解されうるか?
※今回の講座では『省察』の前半部分である第三省察までを扱います。第四省察以降は本講座の終了後にあらためて開講される予定です。
★テキスト★
ルネ・デカルト『省察』山田弘明訳、ちくま学芸文庫、2006年※著作権の都合上、テキストは各自でご準備ください。
※受講者はアーカイブ(録画)の視聴が可能です。リアルタイムで授業に参加できない場合も見逃しなく受講できます。
※途中参加の場合も、全授業のアーカイブ動画をご覧いただけます。
※アーカイブ動画は、最低1年間視聴可能です。
◆受講の流れ◆
1. お申し込み↓
2. 開講&受講の決定
↓
3. リアルタイムで授業に参加/アーカイブを見る/クラスルームから資料にアクセス
◦リアルタイム授業への参加URLは、受講決定時に自動送信されるメールに記載されている他、クラスルーム(下記)、マイページ内「ダッシュボード」からもご確認いただけます。また、各授業日の2日または3日前にリマインダーメールをお送りいたします。
◦講師とのやりとりや資料の配付、講座に関する運営からのお知らせ等は、Google社が提供する学習管理アプリケーション「Googleクラスルーム」から行います。クラスルームにつきましては、受講決定時に別途招待メールが届きますので、そちらからご参加ください。
◦クラスルームの使い方についてはこちらをご覧ください。
◦アーカイブはマイページ内「受講状況」からご覧いただけるほか、本ページ下部の「授業スケジュール」およびクラスルームからもご覧いただけます。
◦ディセミネでの初回受講時に送られる招待メールを承認することで、Googleカレンダーと自動で同期が可能です。是非ともお使いください。

授業予定
第一省察前半を読む
第2回 2026年12月5日(土)19:00〜20:30
第一省察後半を読む
第3回 2026年12月19日(土)19:00〜20:30
第二省察前半を読む
第4回 2027年1月9日(土)19:00〜20:30
第二省察後半を読む
第5回 2027年1月23日(土)19:00〜20:30
第三省察前半を読む
第6回 2027年2月6日(土)19:00〜20:30
第三省察後半を読む
※ 授業の進捗等により予定が変更になる場合がございます。予めご了承ください。
こんな人におすすめ
他方で、デカルトの文章は〈自分の言いたいことを正確に伝える〉という意志を基調としているので、歴史的な哲学書の中でも明快に書かれた古典を読みたいひとにはたいへんおすすめです。また『省察』の議論には現代の哲学でも論じられる話題が多々埋め込まれてるので、古典を踏まえつつ現代的な思索の糧を得たいひとにとっても役立つ講座になっています。
講師情報

授業スケジュール
次回開催
2026年11月21日 19:00 〜 20:30
第1回 第一省察前半を読む
参加可能人数: 無制限2026年12月5日 19:00 〜 20:30
第2回 第一省察後半を読む
2026年12月19日 19:00 〜 20:30
第3回 第二省察前半を読む
2027年1月9日 19:00 〜 20:30
第4回 第二省察後半を読む
2027年1月23日 19:00 〜 20:30
第5回 第三省察前半を読む
2027年2月6日 19:00 〜 20:30
第6回 第三省察後半を読む
デカルト哲学の核心へ迫る——主著『省察』の読解から学ぶ〈懐疑〉の現代性
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